映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』





概要


  • 原題: The Apprentice
  • 邦題: アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
  • 製作年: 2024年
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: アリ・アッバシ (Ali Abbasi)
  • 脚本: ガブリエル・シャーマン
  • ジャンル: ドラマ、伝記
  • 上映時間: 123分
  • 映倫区分: R15+
  • 配給: キノフィルムズ




あらすじ


1980年代。20代の若きドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)は、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれるという危機に瀕していました。

そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)と出会います。大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男であるコーンは、まだ"ナイーブなお坊ちゃん"だったトランプを気に入り、彼を弟子(アプレンティス)と見なします。

コーンはトランプに「勝つための3つのルール」を伝授し、彼を洗練された実業家へと仕立て上げていきます。やがてトランプは数々の大事業を成功させ、不動産王としての地位を確立していく一方、コーンさえ思いもよらない「怪物」へと変貌を遂げていくのでした。


キャスト


  • ドナルド・トランプ: セバスチャン・スタン
  • ロイ・コーン: ジェレミー・ストロング
  • イヴァナ・トランプ: マリア・バカローヴァ
  • フレッド・トランプ(ドナルドの父):マーティン・ドノヴァン
  • メアリー・アン・トランプ(ドナルドの母):キャサリン・マクナリー
  • フレディ・トランプ(ドナルドの兄):チャーリー・キャリック
  • ロジャー・ストーン:マーク・レンドール
  • ファット・トニー・サレルノ:ジョー・ピングー


主題歌・楽曲


映画の音楽に関する具体的な主題歌や特筆すべき楽曲の情報は、現時点では広く公開されていません。劇中の雰囲気を盛り上げるためのスコアが中心であると考えられます。


受賞歴


  • 第77回カンヌ国際映画祭:コンペティション部門出品(2024年)
    • 主要な賞の受賞は逃しましたが、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことは、作品の質の高さと注目度を示しています。


撮影秘話


  • 本作は、ドナルド・トランプの若き日、特に悪名高い弁護士ロイ・コーンとの師弟関係に焦点を当てており、彼のキャリア形成における重要な時期を描いています。
  • 映画の製作は、アメリカ大統領選挙が迫る中で進められ、その内容から論争を巻き起こしました。トランプ氏側が映画の公開を阻止しようとする動きも見られ、その政治的背景も注目されました。
  • セバスチャン・スタンは、若き日のトランプを演じるにあたり、その声や身のこなしを研究したと報じられています。


感想


この映画は、現代の最も論争を呼ぶ人物の一人であるドナルド・トランプが、いかにして「トランプ」になったのかというルーツに迫る作品として、大きな関心を集めています。権力、野心、モラルといったテーマが色濃く描かれ、観客に倫理的な問いを投げかける内容となっています。セバスチャン・スタンとジェレミー・ストロングの演技合戦も見どころです。


レビュー


カンヌ国際映画祭での上映後、批評家からのレビューは賛否両論を巻き起こしました。セバスチャン・スタンとジェレミー・ストロングの演技は高く評価された一方で、トランプの人物像の描き方や、物語がどこまで踏み込んでいるかについては意見が分かれました。しかし、その時事性と、トランプという人物の内面を深く掘り下げようとする姿勢は多くのメディアで注目されました。


考察


本作は、単なる伝記映画にとどまらず、権力に取り憑かれた人間の心理、そしてアメリカ社会の「成功」の定義やその代償について深く考察させる作品です。ロイ・コーンからトランプが学んだ「勝つためのルール」は、彼のその後の人生、そして政治キャリアにも大きな影響を与えたと考えられます。映画は、トランプという「怪物」がどのようにして生まれたのか、そしてその背景には何があったのかを探ろうと試みています。


ラスト


ネタバレを含みます) 


映画のラストは、トランプがロイ・コーンから学んだ教訓を完全に内面化し、彼自身が「コーンの流儀」を体現する存在として確立していく様子が描かれます。コーンがAIDSによる合併症で亡くなり、その影響力から解放されたトランプは、より一層自己中心的な「勝者」としての道を突き進んでいきます。ラストシーンでは、トランプがこれまでの教えを全て吸収し、自身の帝国を築き上げていく姿が象徴的に描かれ、彼が後に辿るであろう大統領への道をも示唆するような形で締めくくられます。ロイ・コーンとの関係性が終わっても、彼から得た精神はトランプの中に生き続けることを示唆しています。


視聴できるサイト



まとめ


映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(原題:The Apprentice)は、2024年製作のアメリカ映画で、若き日のドナルド・トランプと、彼に「勝つためのルール」を伝授した弁護士ロイ・コーンとの関係に焦点を当てた伝記ドラマです。セバスチャン・スタンとジェレミー・ストロングの実力派キャストが、その変貌ぶりを熱演。カンヌ国際映画祭に出品され、論争を巻き起こすなど、その内容と時事性が大きな注目を集めました。権力と野心の形成過程を深く探る作品として、観る者に様々な問いを投げかけます。