『ニューヨーク 冬物語』






概要


  • 原題: Winter's Tale
  • 公開年: 2014年
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: アキヴァ・ゴールズマン (脚本も担当)
  • 脚本: アキヴァ・ゴールズマン(マーク・ヘルプリンの同名小説に基づく)
  • ジャンル: ファンタジー、ラブロマンス、ドラマ
  • 上映時間: 118分


あらすじ


1916年のニューヨーク。孤児の泥棒ピーター・レイク(コリン・ファレル)は、ギャングのボスである悪魔パーリー・ソームズ(ラッセル・クロウ)に育てられながらも、彼らの組織を抜け出そうとしていました。命を狙われたピーターは、不思議な白い馬に導かれて逃亡し、とある大邸宅に忍び込みます。

そこで彼は、肺病を患い余命わずかな美しい令嬢ベバリー・ペン(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)と出会い、一目で激しい恋に落ちます。ベバリーは「誰の中にも奇跡を起こす力がある」とピーターに語り、二人は互いに深く惹かれ合います。ピーターはベバリーの命を救うことが自分の運命だと信じますが、パーリーは彼らの関係を阻止しようと執拗に追い詰めます。

運命のいたずらにより、ピーターは100年後の現代のニューヨークで目覚めます。彼は自身の過去とベバリーとの愛の記憶を失っていましたが、彼の中には奇跡を起こす力が眠っていました。彼はジャーナリストのバージニア・ゲームリー(ジェニファー・コネリー)の助けを借りながら、自分の過去と使命、そしてベバリーとの真実の愛を追い求める旅に出ます。そして、時代を超えて宿敵パーリーとの最終決戦に挑むことになります。


主なキャスト


  • ピーター・レイク:コリン・ファレル
  • ベバリー・ペン:ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ
  • パーリー・ソームズ:ラッセル・クロウ
  • バージニア・ゲームリー:ジェニファー・コネリー
  • アイザック・ペン:ウィリアム・ハート
  • (ルシファー):ウィル・スミス(カメオ出演)
  • エヴァ・マリー・セイント


主題歌・楽曲


  • 音楽はハンス・ジマールパート・グレッグソン=ウィリアムズが担当しています。
  • 特定の主題歌というよりも、映画の幻想的でロマンチックな世界観を彩るオーケストラによるスコアが中心です。
  • サウンドトラックには、KT Tunstallによる楽曲「Miracle」も収録されています。


受賞歴


  • 主要な映画賞の受賞歴は確認できませんでした。
  • ハリウッド・メイクアップ・アーティスト&ヘアスタイリスト・ギルド・アワードで、「長編映画における最優秀現代ヘアスタイリング」にノミネートされています。


撮影秘話


  • マーク・ヘルプリンの原作小説は、スティーブン・スピルバーグやマーティン・スコセッシといった著名な監督たちが映画化を検討しながらも、その壮大さから「映画化不可能」とされてきたと言われています。
  • アキヴァ・ゴールズマンは、本作で監督デビューを果たしました。
  • 1916年のニューヨークと現代のニューヨーク、そして幻想的な世界を行き来する映像美が特徴で、ニューヨークの街並みが物語の重要な要素となっています。
  • コリン・ファレルは撮影当時37歳でしたが、物語の設定では若者として描かれています。


感想


壮大なスケールで描かれるタイムスリップと輪廻転生、そして奇跡の愛というテーマは魅力的ですが、原作小説の膨大な内容を2時間弱の映画にまとめる難しさがあったと指摘されることが多いです。豪華キャストの共演は見どころですが、物語が複雑に絡み合い、説明不足と感じる点や、一部の展開が唐突に映るという意見もあります。ファンタジー要素が強いため、好みが分かれる作品と言えるでしょう。


レビュー


批評家からの評価は非常に厳しいものでした。Rotten Tomatoesでは批評家支持率が低い数値にとどまり、「才能あるキャストと豊かな原作素材を浪費した、混乱して面白みのないファンタジーアドベンチャー」と酷評されることが多いです。Metacriticでも「概ね好ましくないレビュー」とされています。ストーリーの分かりにくさ、キャラクターの深みの欠如、原作からの大幅な変更などが批判の主な点でした。一方で、ロマンチックな雰囲気を評価する声や、ハンス・ジマーによる音楽は高い評価を得ています。


考察


この映画は、奇跡、運命、そして善と悪の古くからの戦いというテーマを探求しています。ピーター・レイクの旅は、単なる愛の物語にとどまらず、人類の中に存在する「奇跡」の力を呼び覚ます使命を帯びています。ニューヨークという都市自体が、時間を超えた物語の舞台として、魔法のような存在として描かれています。映画は、原作の持つ深遠な哲学的・詩的な要素を十分に伝えきれなかったと評価されることが多いですが、根底には愛の力と希望が描かれています。


ラスト


ネタバレを含みます


現代のニューヨークで、ピーター・レイクは遂に宿敵パーリー・ソームズとの最後の対決を迎えます。激しい戦いの末、ピーターはパーリーを倒すことに成功します。パーリーは雪となって消え去ります。

その後、ピーターはベバリーの墓を訪れます。そして、彼は現代で出会った白血病の少女アビーの命を救うという「奇跡」を起こします。これは、ベバリーがかつて語った「誰の中にも奇跡を起こす力がある」という言葉、そしてピーター自身の使命が果たされた瞬間でした。

映画の最後のシーンでは、ピーターは彼を守り導いてきた不思議な白い馬に乗って、夜空へと駆け上がります。彼らは空に輝く星となり、ベバリーが言っていたように、「死んだ後には星になるのだ」という言葉が実現されます。これは、ピーターとベバリーの永遠の愛が宇宙のどこかで結ばれたことを示唆する、幻想的で詩的な結末です。


視聴できるサイト


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まとめ


映画『ニューヨーク 冬物語』は、マーク・ヘルプリンの同名小説を原作とした2014年のファンタジー・ラブロマンス映画です。1916年のニューヨークを舞台に、泥棒と余命わずかな令嬢の運命的な出会い、そして100年の時を超えた愛と使命が描かれます。コリン・ファレル、ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリーといった豪華キャストが出演していますが、原作の壮大さと複雑さを限られた時間で描ききれず、批評家からの評価は厳しいものでした。しかし、美しい映像と音楽、そして奇跡と愛の物語に魅力を感じる観客には、心に残る作品となるかもしれません。