『ブラザーズ・グリム』





 概要


  • 原題: The Brothers Grimm
  • 公開年: 2005年
  • 製作国: アメリカ、イギリス、チェコ
  • 監督: テリー・ギリアム
  • 脚本: エレン・クルーガー
  • ジャンル: ファンタジー、アドベンチャー、コメディ、ホラー
  • 上映時間: 118分


あらすじ


19世紀初頭のフランス占領下のドイツを舞台に、ウィル・グリム(マット・デイモン)とジェイコブ・グリム(ヒース・レジャー)は、旅回りの“魔物退治詐欺師”として生計を立てています。彼らは村々を訪れ、作り物の魔物を退治することで人々から金銭を巻き上げていました。

しかしある日、フランス軍の将軍ドラトゥーブ(ジョナサン・プライス)に捕らえられた兄弟は、マールバッハの森で実際に起こっている少女たちの失踪事件の解決を強要されます。その森では、古くから伝わる呪いの伝説があり、人々は“鏡の女王”(モニカ・ベルッチ)の仕業だと恐れていました。

最初はいつもの詐欺で解決しようとするウィルと、伝説や物語に強い関心を持つジェイコブでしたが、森の奥深くへ進むにつれて、人を襲う木々、底なしの穴、そして朽ち果てた塔など、彼らの想像を遥かに超える魔法的な現象に遭遇します。村の娘アンジェリカ(レナ・ヘディ)の協力を得ながら、兄弟は初めて本物の魔物と対峙し、恐ろしい女王の謎に迫っていくことになります。


キャスト


  • ウィル・グリム:マット・デイモン
  • ジェイコブ・グリム:ヒース・レジャー
  • アンジェリカ:レナ・ヘディ
  • 将軍ドラトゥーブ:ジョナサン・プライス
  • カヴァルディ:ピーター・ストーメア
  • 鏡の女王:モニカ・ベルッチ


主題歌


映画の音楽はダリオ・マリアネッリが作曲しました。特定の主題歌(歌詞のある歌)はありません。ファンタジックでダークな雰囲気を盛り上げる印象的なスコアが使用されています。


受賞歴


  • ヴェネツィア国際映画祭 (2005): 金獅子賞 (ノミネート)
  • サターン賞 (2006): ベストファンタジー映画賞 (ノミネート)


撮影秘話


  • テリー・ギリアム監督らしい奇想天外な映像美と独特のユーモアが特徴です。
  • 撮影は主にチェコで行われ、中世ヨーロッパの雰囲気が色濃く残る風景が物語の舞台となっています。
  • CG技術と実写を組み合わせた、幻想的で不気味なクリーチャーや魔法の表現が見どころの一つです。
  • ギリアム監督は、グリム童話の持つダークで奇妙な側面を強調し、単なる子供向けのファンタジーとは一線を画した作品を目指しました。


感想


テリー・ギリアム監督ならではの独創的な世界観が炸裂したファンタジーアドベンチャーです。グリム兄弟を主人公にしながらも、史実とフィクション、そしてグリム童話の世界観を巧みに織り交ぜたストーリーは、大人も子供も楽しめるでしょう。奇妙で美しい映像、個性的なキャラクター、そしてスリルとユーモアが絶妙なバランスで描かれています。ただし、ギリアム監督の独特な作風は好みが分かれるかもしれません。


レビュー


評価は賛否両論でした。ギリアム監督の独創的なビジュアルや、マット・デイモンとヒース・レジャーのコミカルな演技は評価されましたが、ストーリーの展開やテンポ、そしてダークなトーンが一部の観客には受け入れられませんでした。しかし、その独特な世界観は熱狂的なファンを生み出しています。


考察


この映画は、物語の力、迷信と現実の曖昧さ、そして恐怖に立ち向かう勇気を描いています。グリム兄弟が作り物の物語で人々を騙してきた過去から、本物の魔法や恐怖に直面することで、物語の持つ力や真実の意味を理解していく過程が描かれています。また、合理主義と迷信、科学と魔法といった対立する要素も示唆されています。


ラスト


兄弟は鏡の女王との壮絶な戦いの末、事件を解決し、森に平和を取り戻します。しかし、その過程で兄弟の関係や彼らの価値観にも変化が訪れます。ラストシーンは、彼らが新たな物語を探求していく未来を示唆しており、グリム童話がどのようにして生まれたのかという想像力を掻き立てるものとなっています。


視聴できるサイト


配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


『ブラザーズ・グリム』は、テリー・ギリアム監督が独特の映像センスで描く、ファンタジーアドベンチャーです。グリム兄弟が本物の魔法と対峙する物語は、スリルとユーモア、そしてダークなファンタジー要素が満載です。好みが分かれる作風ではありますが、その独創的な世界観は一度見たら忘れられない魅力を持っています。