『メドゥーサ デラックス』





概要


  • 原題: Medusa Deluxe
  • 公開年: 2022年(イギリス)
  • 製作国: イギリス
  • 監督: トーマス・ハーディマン
  • 脚本: トーマス・ハーディマン
  • ジャンル: ミステリー、スリラー
  • 上映時間: 100分


あらすじ


舞台はイギリスのヘアスタイリング・コンテスト。華やかで競争の激しい世界で、カリスマ的な人気を誇るスター・ヘアスタイリスト、モスカがバックステージで殺害されます。コンテストは一時中断され、残されたヘアスタイリストたちは、密室状態となった会場内で、誰が犯人なのかを推理し始めます。

物語は、モスカの死の直後から、容疑者となりうる複数のヘアスタイリストたちを追いかけながら展開します。彼らはそれぞれ独自の個性と野心、そして秘密を抱えており、互いに疑心暗鬼に陥っていきます。華やかな舞台裏で繰り広げられる、嫉妬、ライバル意識、そして過去の確執が複雑に絡み合い、事件の真相を覆い隠していきます。

観客は、登場人物たちの証言や行動を通して、徐々に事件の輪郭を掴んでいきますが、最後まで犯人は特定されず、予測不可能な展開が続きます。


キャスト


  • クレア・ラッシュブルック as クレオパトラ
  • トム・バーン as ティム
  • ハリス・ディキンソン as ルーカス
  • ケイト・ディッキー as オリビア
  • アナイス・パレロ as イネス
  • ルーク・パスカリーノ as アンジェロ
  • カエリン・ジェイ・ウッド as テディ
  • ゴラン・コスティッチ as モスカ(被害者)


主題歌


映画の音楽は、イギリスの電子音楽家であるカイル・イーストウッドが担当しました。特定の主題歌というよりは、スタイリッシュで不穏な雰囲気のスコアが、物語全体を彩っています。


受賞歴


  • ロカルノ国際映画祭 2022: 特別言及(監督賞)受賞
  • 他、いくつかの映画祭で上映、ノミネートされています。


撮影秘話


  • 映画は、ほぼ全編がワンカット(に見える)で撮影されています。これは、監督のトーマス・ハーディマンの独特な演出スタイルであり、観客に登場人物たちの間を常に動き回っているような臨場感を与えます。
  • ヘアスタイリング・コンテストという舞台設定のため、劇中には数多くの独創的で華やかなヘアスタイルが登場します。
  • 撮影は、限られた空間の中で、複雑なカメラワークと俳優の動きによって、物語の緊張感と密室感を高めるように工夫されています。


感想


『メドゥーサ デラックス』は、スタイリッシュで異質なミステリー・スリラーです。ワンカット風の撮影による独特の没入感と、個性的なキャラクターたちが織りなす会話劇が魅力です。ヘアスタイリングの世界という華やかな舞台裏で繰り広げられる、人間の嫉妬や野心が、事件の背景に深く関わっています。従来のミステリーとは一線を画す、実験的で斬新な作品と言えるでしょう。


レビュー


批評家からの評価は概ね高く、特にその斬新な演出とスタイリッシュな映像、そして個性的なキャラクターたちが称賛されています。一方で、物語の展開がやや難解であるという意見や、従来のミステリーのような明確な解決を期待する観客には不向きであるという声もあります。しかし、その実験性と独創性は高く評価されています。


考察


この映画は、表面的な華やかさの裏に潜む人間の暗い感情、競争社会における嫉妬や野心を描いています。また、密室という状況設定の中で、登場人物たちの心理的な葛藤や人間関係が浮き彫りになります。ワンカット風の撮影は、観客を事件の渦中に引き込み、登場人物たちの不安や疑念を共有させる効果があります。従来のミステリーの枠組みにとらわれず、映像表現やキャラクター描写を通して、人間の心理を探求する意欲的な作品と言えるでしょう。


ラスト


事件の真相は明確には語られず、観客に様々な可能性を残したまま物語は幕を閉じます。犯人が誰なのかという謎解きよりも、事件を通して露わになる人間関係や心理状態、そしてコンテストという特殊な世界の雰囲気を味わうことが、この映画の重要な要素となっています。


視聴できるサイト



まとめ


『メドゥーサ デラックス』は、イギリス製作の異質なミステリー・スリラーです。ヘアスタイリング・コンテストの舞台裏で起こった殺人事件を、ほぼワンカットの斬新な映像で描き出します。個性的なキャラクターたちの会話劇と、スタイリッシュで不穏な雰囲気が魅力であり、従来のミステリーとは一線を画す実験的な作品として、高い評価を得ています。日本での公開・配信が待たれる一本です。