『ボイリング・ポイント/沸騰』
『ボイリング・ポイント/沸騰』
概要
- 原題: Boiling Point
- 邦題: ボイリング・ポイント/沸騰
- 公開年: 2021年(イギリス)
- 製作国: イギリス
- 監督: フィリップ・バランティーニ
- 脚本: ジェームズ・カミングス、フィリップ・バランティーニ
- ジャンル: ドラマ、スリラー
- 上映時間: 92分
あらすじ
舞台はクリスマスの夜のロンドンの高級レストラン。カリスマ的なヘッドシェフ、アンディ・ジョーンズ(スティーヴン・グレアム)は、個人的な問題を抱えながら、満席のレストランを切り盛りしなければなりません。プレッシャーが高まる中、予期せぬ事態が次々と発生します。
遅れてくるスタッフ、厳しい批評家、アレルギーを持つ客、そしてアンディの過去に関わる厄介な人物の登場。アンディは、崩壊寸前の精神状態と増していくプレッシャーの中で、完璧なディナーサービスを提供しようと奔走します。映画は、その夜のレストランの舞台裏を、ほぼ全編ワンカットでリアルタイムに描き出します。
主なキャスト
- アンディ・ジョーンズ:スティーヴン・グレアム
- カーリー:ヴィネット・ロビンソン
- フリーマン:レイ・パンサキ
- サラ:ハンナ・ウォルターズ
- トニー:ジェイソン・フレミング
- アリステア・スカイ:アデール・アクタル
主題歌
映画の音楽はマシュー・ハーバートが担当しました。特定の主題歌というよりは、緊迫感を高めるための劇伴音楽が印象的です。
受賞歴
- 英国インディペンデント映画賞 (BIFA) 2021:
- 主演男優賞 (スティーヴン・グレアム) 受賞
- 撮影賞 受賞
- 作品賞 ノミネート
- 監督賞 ノミネート
- 助演女優賞 (ヴィネット・ロビンソン) ノミネート
- 脚本賞 ノミネート
- 音響賞 ノミネート
- 編集賞 ノミネート
- 新人監督賞 ノミネート
- 英国アカデミー賞 (BAFTA) 2022:
- 英国作品賞 ノミネート
- キャスティング賞 ノミネート
撮影秘話
- 映画は、ロンドンのソーホーにある実際のレストランで、夜間の営業時間外に撮影されました。
- ほぼ全編がワンカットで撮影されており、俳優たちの高い集中力と緻密な演出が求められました。撮影は数回に分けて行われ、最も成功したテイクが採用されました。
- 監督のフィリップ・バランティーニは、以前に同名の短編映画(2019年)を制作しており、長編版でも同様のワンカットスタイルを採用しました。
感想
『ボイリング・ポイント/沸騰』は、息つく間もない緊張感と臨場感が圧倒的な作品です。ワンカット撮影によって、レストランの舞台裏の混乱とプレッシャーがリアルに伝わり、観客もその場にいるような感覚を味わえます。スティーヴン・グレアムの鬼気迫る演技は圧巻で、ヘッドシェフの苦悩と焦燥を痛いほど感じさせます。
レビュー
批評家からの評価は非常に高く、特にその革新的な撮影手法と俳優たちの演技が絶賛されました。映画レビューサイトRotten Tomatoesでは98%の高評価を得ています。「スリリングで没入感があり、見事な演技が光る『ボイリング・ポイント』は、プレッシャーに満ちたレストランの厨房の奥深くへと観客を引き込む」と評されています。
考察
この映画は、飲食業界の過酷な労働環境、そこで働く人々の精神的な負担、そして個人的な問題が仕事に及ぼす影響などをリアルに描いています。完璧を求められるプレッシャー、予期せぬトラブルへの対処、そして人間関係の複雑さが、ワンカットという手法によってより一層強調されています。また、社会の様々な問題(薬物依存、人種差別、経済格差など)も背景に垣間見えます。
ラスト
クリスマスの夜のディナーサービスが終わりを迎える中、アンディは自身の抱える問題と向き合うことになります。ラストシーンは、彼の状況が完全に解決したわけではなく、依然として多くの課題が残っていることを示唆しており、観る者に深い余韻を残します。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video
- U-NEXT
- Lemino
配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。
まとめ
『ボイリング・ポイント/沸騰』は、クリスマスの夜のロンドンの高級レストランを舞台に、ヘッドシェフが極度のプレッシャーの中で奮闘する姿を、ほぼ全編ワンカットで描いたリアルタイムドラマスリラーです。スティーヴン・グレアムの圧巻の演技と、臨場感あふれる映像体験が観る者を釘付けにします。飲食業界の過酷な現実と、そこで働く人々の人間ドラマを深く掘り下げた、見応えのある作品です。