『ランド・オブ・ザ・デッド』





概要


  • 原題: Land of the Dead
  • 日本公開年: 2005年8月27日
  • 製作国: アメリカ、カナダ、フランス
  • 監督: ジョージ・A・ロメロ
  • 脚本: ジョージ・A・ロメロ
  • ジャンル: ホラー、アクション、SF
  • 上映時間: 93分(劇場公開版)、97分(ディレクターズカット版)


あらすじ


ゾンビが世界を覆い尽くした近未来。生き残った人間たちは、二つの川に挟まれた要塞都市で生活を送っていた。都市の中心には、富裕層が優雅な暮らしを送る高層ビルがあり、その周辺には貧しい人々がひしめき合っていた。

支配者のカウフマン(デニス・ホッパー)は、傭兵グループを組織し、ゾンビが徘徊する危険地帯から食料や物資を調達させていた。傭兵の一人であるライリー(サイモン・ベイカー)は、この仕事で金を稼ぎ、自由を求めて北へ逃亡することを夢見ていた。彼は、危険地帯で出会った娼婦のスラック(アーシア・アルジェント)を救出し、仲間に加える。

一方、ゾンビたちは徐々に知能を持ち始め、集団で行動するようになる。彼らは要塞都市へと迫りつつあり、人間たちの築いた安全な世界を脅かす。そんな中、カウフマンに不満を持つ傭兵チョロ(ジョン・レグイザモ)が反乱を起こし、事態はさらに悪化していく。


主なキャスト


  • ライリー:サイモン・ベイカー
  • カウフマン:デニス・ホッパー
  • スラック:アーシア・アルジェント
  • チョロ:ジョン・レグイザモ
  • チャーリー:ロバート・ジョイ


主題歌・劇中歌


映画の音楽はラインホルト・ハイルジョニー・クリメックが担当しました。特定の主題歌というよりは、緊迫感とアクションを高めるスコアが特徴です。


受賞歴


低予算のホラー映画であるため、主要な映画賞の受賞歴は多くありませんが、ホラー映画のファンや専門家からは一定の評価を得ています。


撮影秘話


  • ホラー映画の巨匠ジョージ・A・ロメロによる「リビングデッド」シリーズの4作目です。前作『死霊のえじき』から約20年ぶりの監督作品となりました。
  • 撮影はカナダのトロントで行われました。
  • ゾンビの特殊メイクは、グレッグ・ニコテロ率いるKNB EFXグループが担当し、リアルでグロテスクなゾンビ描写が話題となりました。
  • 監督のロメロは、本作で富裕層と貧困層の格差といった社会的なテーマをゾンビ映画に盛り込もうとしました。


感想


『ランド・オブ・ザ・デッド』は、単なるゾンビ映画に留まらず、文明崩壊後の社会における権力構造や人間の欲望を描いた作品です。進化したゾンビの登場や、人間同士の対立など、シリーズの新たな要素も盛り込まれており、見応えがあります。グロテスクな描写も多いですが、その中に社会風刺や人間ドラマが織り込まれている点が特徴です。


レビュー


批評家からの評価は概ね好意的でした。ロメロ監督のゾンビ映画への回帰を歓迎する声が多く、アクション、ゴア描写、社会的なメッセージなどが評価されました。一部では、物語の深みやキャラクター描写に不満の声もありましたが、全体的にはエンターテイメント性の高いゾンビ映画として支持されています。


考察


本作は、ゾンビという存在を通して、現代社会の格差や権力構造を批判的に描いています。安全な場所に閉じこもる富裕層と、危険な場所で生きる貧困層の対比は、現代社会の縮図とも言えるでしょう。また、知能を持ち始めるゾンビの登場は、従来のゾンビ映画の概念を覆し、新たな恐怖の可能性を示唆しています。


ラスト


ネタバレを含みます


傭兵グループは、知能を持つゾンビたちの襲撃を受けながらも、高層ビルに立てこもるカウフマンを追い詰めます。しかし、チョロがゾンビ化してカウフマンを襲い、二人は爆発に巻き込まれて死亡します。

ライリー、スラック、チャーリーらは、ゾンビが溢れかえった高層ビルにミサイルを打ち込み、残された人々を救出します。そして、彼らは北へと向かうことを決意し、ゾンビたちが進化し続ける中、新たな世界へと旅立っていくところで物語は終わります。


視聴できるサイト


配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


『ランド・オブ・ザ・デッド』は、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロが手がけた、単なるホラーに留まらない深みを持つ作品です。進化したゾンビと人間たちの壮絶な戦いを描きながら、現代社会の矛盾や問題を提起しています。グロテスクな描写の中に、社会的なメッセージとエンターテイメント性が共存した、見応えのあるゾンビ映画です。日本でも劇場公開され、現在も複数の配信サービスで視聴可能です。