『4デイズ』








概要


  • 原題: Unthinkable
  • 邦題: 4デイズ
  • 公開年: 2010年（アメリカ）
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: グレゴール・ジョーダン
  • 脚本: ピーター・ウッドワード
  • ジャンル: サスペンス、スリラー
  • 上映時間: 97分（劇場公開版）、139分（ディレクターズカット版）


あらすじ


アメリカの複数の都市に、核爆弾を仕掛けたと自供する男、ユスフ（マイケル・シーン）が逮捕されます。彼は元グリーンベレーの隊員であり、現在はイスラム系テロリストに転身したと目されています。しかし、爆弾の場所については一切口を割ろうとしません。

事態の緊急性と重要性から、FBIのヘレン・ブロディ捜査官（キャリー＝アン・モス）が尋問にあたりますが、成果は得られません。そこで、政府は禁断の選択を下します。いかなる非人道的な手段も厭わない、H（エイチ）と呼ばれる謎の尋問のプロ（サミュエル・L・ジャクソン）を投入するのです。

Hは、時間を惜しむことなく、ユスフから情報を引き出すために、常軌を逸した拷問を始めます。ユスフの妻や子供たちを巻き込むことも辞さないHのやり方に、ブロディ捜査官は人道的な葛藤を覚えます。時間が刻一刻と迫る中、Hはどこまで許されるのか、そしてユスフは本当に核爆弾を仕掛けたのか、その真意とは何なのか、観客は極限の状況に引き込まれていきます。


主なキャスト


  • H（エイチ）: サミュエル・L・ジャクソン
  • ユスフ: マイケル・シーン
  • ヘレン・ブロディ捜査官: キャリー＝アン・モス
  • ジャクソン: スティーヴン・ルート
  • ポーク大佐: ブランドン・ラウス


主題歌・楽曲


特定の主題歌や劇中歌に関する情報は確認できませんでした。映画の緊迫した雰囲気を高めるためのスコアが中心となっています。


受賞歴


本作は主要な映画賞の受賞歴はありません。


撮影秘話


  • この映画は、倫理的なジレンマと拷問の合法性という非常にデリケートなテーマを扱っています。
  • 映画の公開にあたっては、その内容の過激さから賛否両論を巻き起こしました。特に、拷問シーンの描写については議論の的となりました。
  • ディレクターズカット版（R指定）は、劇場公開版よりも拷問シーンがさらに露骨に描かれており、物語の結末も異なります。


感想


『4デイズ』は、観る者に強烈な倫理的問いかけを迫る、重く、そして衝撃的なスリラーです。サミュエル・L・ジャクソンの冷徹な拷問官Hの演技は圧巻で、マイケル・シーン演じるユスフとの対峙は息をのむほどです。観客は、正義とは何か、どこまでが許されるのか、という問いに直面させられます。非常に不快な描写が含まれるため、視聴には注意が必要ですが、考えさせられるテーマ性を持つ作品として評価されています。


レビュー


批評家からのレビューは賛否両論でした。その挑発的なテーマ設定と、サミュエル・L・ジャクソンとマイケル・シーンの演技は評価されたものの、拷問描写の過激さや、テーマの掘り下げが不十分であるという批判もありました。しかし、極限状況における人間の倫理観を描いた作品として、議論を呼ぶ作品となりました。


考察


この映画は、「目的のためには手段を選ばない」という考え方がどこまで許されるのか、という倫理的ジレンマを深く掘り下げています。テロという緊急事態において、国家や個人がどこまで非人道的な行為に走るべきか。また、ユスフの行動の真意や、彼が信じる「大義」が何であったのかも、観客に問いかけます。最終的な結末は、観客自身の倫理観に委ねられる部分が大きいでしょう。


ラスト


（正確なネタバレを含みます）


劇場公開版とディレクターズカット版で結末が異なりますが、ディレクターズカット版の結末は以下のような衝撃的なものです。

Hはユスフから爆弾の場所を聞き出すことに成功します。その情報に基づき、爆弾は無事に回収されます。しかし、Hは尋問が終わり、ユスフが用済みになった後も、彼の子供たちにさらなる危害を加えるそぶりを見せます。ブロディ捜査官は、Hのやり方に耐えかね、ユスフの子供たちを救うためにHを射殺します。

しかし、その直後、ブロディ捜査官は信じがたい真実を知らされます。ユスフが仕掛けた核爆弾は、実は回収されたものだけではなく、もう一つ別の場所に仕掛けられていたことが示唆されるのです。しかも、その場所は、Hが拷問で聞き出すことを許されなかった、ユスフの真の「目的」に関連する場所だったかもしれません。

この結末は、Hが非人道的な行為に走ったにもかかわらず、最終的に全ての爆弾を発見できなかったという皮肉な結果を示唆し、拷問の有効性や倫理的限界をさらに深く問いかけるものとなっています。


視聴できるサイト


配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


『4デイズ』（原題：Unthinkable）は、サミュエル・L・ジャクソン主演の2010年のスリラー映画です。核爆弾テロリストから情報を引き出すため、拷問のプロが投入されるという過激な設定で、倫理的なジレンマを観る者に突きつけます。衝撃的な拷問描写と、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・シーン、キャリー＝アン・モスの緊迫した演技が光る一方で、その内容から賛否両論を巻き起こしました。特にディレクターズカット版のラストは、倫理的問いかけをさらに深めるものとなっています。