『リベリオン』







 概要


  • 原題: Equilibrium(イコールブリアム)
  • 邦題: リベリオン
  • 公開年: 2002年(日本公開は2003年3月29日)
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: カート・ウィマー
  • 脚本: カート・ウィマー
  • ジャンル: SF、アクション、ディストピア
  • 上映時間: 107分
  • 製作費: 約2,000万ドル


あらすじ


舞台は第三次世界大戦後の未来。人類は二度と戦争が起こらないよう、感情を持つことを禁止する管理国家を築いていた。国民は毎日、「プロジウム」という感情抑制剤の投薬を義務付けられており、音楽、絵画、文学などの感情を揺さぶる芸術作品も厳しく禁止され、廃棄される対象となっていた。

感情を持つ者は「感情違反者」として厳しく処罰され、特殊捜査官である「クラリック(聖職者)」たちがその摘発と処刑を行っていた。主人公ジョン・プレストン(クリスチャン・ベール)は、銃を用いた武道「ガン=カタ」の達人であり、冷徹に任務を遂行するエリートクラリックだった。

ある日、プレストンは誤ってプロジウムの瓶を割ってしまい、投薬せずに任務を続けることになる。これにより彼の心は徐々に揺らぎ始め、感情が目覚め始める。感情違反者だった彼の同僚を自らの手で射殺したことや、女性感情違反者メアリー(エミリー・ワトソン)との出会い、禁止された芸術品に触れる経験を通して、プレストンは完全に覚醒していく。

彼は次第に、政府の欺瞞と、感情のない世界の不自然さに疑問を抱くようになる。やがて、プレストンは地下で活動するレジスタンスと接触し、感情を抑圧する国家体制への反逆を決意する。単身、国家の最高権力者である「ファーザー」の元に乗り込み、世界を変えるための壮絶な戦いを挑む。


主なキャスト


  • ジョン・プレストン:クリスチャン・ベール
  • メアリー・オブライエン:エミリー・ワトソン
  • ブラント:テイ・ディグス
  • デュポン:アンガス・マクファーデン
  • パートリッジ:ショーン・ビーン
  • ファーザー:ショーン・パートウィー(声:アンガス・マクファーデン)


主題歌・劇中歌


本作に特定の主題歌や劇中歌は存在しません。音楽はクラウス・バデルトが手掛けた壮大で重厚なスコアが中心で、ディストピアの世界観と激しいアクションシーンを盛り上げています。


受賞歴


本作は、公開当初、主要な映画賞での受賞歴は特にありません。しかし、そのユニークなアクションスタイル「ガン=カタ」が後世の多くの作品に影響を与え、カルト的な人気を獲得しました。


撮影秘話


  • ガン=カタの誕生: この映画の最大の魅力は、銃と体術を組み合わせた架空の戦闘術「ガン=カタ」です。監督のカート・ウィマーが考案し、クリスチャン・ベールはこれを習得するために徹底的なトレーニングを行いました。銃を構える姿勢、弾丸の軌道、身体の動きが一体となった、非常にスタイリッシュなアクションは、当時大きな衝撃を与えました。
  • 低予算での挑戦: 製作費は2,000万ドルと、ハリウッドの大作SFアクションとしては比較的低予算でした。しかし、その限られた予算の中で、独創的なアイデアと効率的な演出により、印象的な世界観とアクションを実現しています。
  • 美術デザイン: 感情が抑圧された世界観を表現するため、無機質でシンメトリーを多用した建築物や、モノトーンを基調とした色彩設計が特徴的です。


感想


『リベリオン』は、「ガン=カタ」という圧倒的にクールなアクションスタイルが最大の魅力であり、多くの観客を熱狂させました。クリスチャン・ベールの抑制された演技から感情が徐々に芽生えていく過程も丁寧に描かれており、ディストピアSFとしてのストーリーもしっかりと楽しめます。B級映画のような雰囲気も持ち合わせつつ、その斬新なアクションとテーマ性で記憶に残る作品です。


レビュー


公開当初の批評家からの評価は賛否両論でしたが、特に「ガン=カタ」のアクションは高く評価されました。ストーリーについては、設定の粗さを指摘する声もありましたが、全体としては、スタイリッシュな映像と独創的なアイデアが高く評価されています。「マトリックス」と比較されることも多く、アクション映画ファンには根強い人気があります。


考察


この映画は、感情が人間にとって不可欠な要素であることを強く訴えかけます。感情を排除することで戦争のない平和な世界が実現したとしても、それは真の人間性や幸福とは言えないというメッセージが込められています。また、芸術や表現の自由が抑圧される社会の危険性や、体制に疑問を抱き反逆する個人の尊厳も描かれています。


ラスト


ネタバレを含みます) 


プレストンは単身、最高権力者「ファーザー」が潜む本部へと乗り込みます。そこで彼を待ち受けていたのは、既に故人であるはずのファーザーを騙り、裏で全てを操っていたデュポン(アンガス・マクファーデン)でした。デュポンは感情を爆発させ、隠れて芸術品を収集している偽善者でした。

プレストンとデュポンの間には、ガン=カタを駆使した壮絶な最終決戦が繰り広げられます。プレストンはデュポンを倒し、国家の感情抑制システムを破壊することに成功します。

システムが破壊されたことで、国民は感情を取り戻し、街中では混乱と同時に、人々が感情を爆発させる光景が広がります。レジスタンスも行動を開始し、社会は大きく変化しようとしています。プレストンは、自分が引き起こした「リベリオン(反乱)」の行く末を静かに見つめ、彼の顔には感情を取り戻したことによる穏やかな表情が浮かんでいました。


視聴できるサイト


配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


映画『リベリオン』(原題:Equilibrium)は、感情が禁止されたディストピア世界を舞台に、感情を取り戻したエリート捜査官の戦いを描いた2002年のSFアクション映画です。特に、銃と体術を融合させた「ガン=カタ」という革新的なアクションスタイルが最大の魅力であり、多くの後続作品に影響を与えました。クリスチャン・ベールの熱演と、感情の重要性を問うテーマ性が光る、カルト的な人気を誇る作品です。