『マギー』





概要


  • 原題: Maggie
  • 公開年: 2015年
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: ヘンリー・ホブソン
  • 脚本: ジョン・スコット・III
  • ジャンル: ドラマ、ホラー、スリラー
  • 上映時間: 95分


あらすじ


アメリカ中西部で、人をゾンビ化させる謎のウイルスが蔓延。父親のウェイド・フォーゲル(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、感染してしまった16歳の娘マギー(アビゲイル・ブレスリン)を必死に探し出し、自宅へと連れ帰ります。感染者は徐々にゾンビ化していくため、隔離施設へ送られるのが通例ですが、ウェイドは娘との残された時間を大切にしようと、妻のキャロライン(ジョエリー・リチャードソン)や2人の子供たちと共に、マギーを自宅で看取ることを決意します。

マギーの体には徐々にウイルスの影響が現れ始め、食欲不振や皮膚の変色、聴覚や嗅覚の異常といった症状が進んでいきます。ウェイドは、娘が完全にゾンビ化してしまうまでの間、彼女との最後の思い出を作ろうと努めます。しかし、周囲の目は厳しく、いつマギーを隔離施設へ送るべきかという葛藤に苛まれます。家族の愛と、迫りくる別れの現実の中で、ウェイドとマギーは静かに、そして切ない時間を過ごしていきます。


主なキャスト


  • ウェイド・フォーゲル:アーノルド・シュワルツェネッガー
  • マギー・フォーゲル:アビゲイル・ブレスリン
  • キャロライン・フォーゲル:ジョエリー・リチャードソン


主題歌


映画の音楽はデヴィッド・ウィンゴが作曲しました。特定の主題歌というよりは、静かで悲しい雰囲気を醸し出すスコアが印象的です。


受賞歴


インディペンデント映画であるため、主要な映画賞の受賞歴は多くありませんが、以下の映画祭などで評価されています。

  • トロント国際映画祭 (2014): 正式出品
  • トライベッカ映画祭 (2015): 正式出品


撮影秘話


  • 本作は、ジョン・スコット・IIIが書いた脚本が「ブラックリスト」(製作に至らなかった優秀な脚本のリスト)に選ばれたことから映画化されました。
  • アーノルド・シュワルツェネッガーは、脚本に深く感動し、プロデューサーとしても参加しました。彼のシリアスな演技は新境地を開いたと評されています。
  • 撮影は、アメリカ合衆国ルイジアナ州で行われました。


感想


『マギー』は、単なるゾンビホラーではなく、感染していく娘とその父親の深い愛情と葛藤を描いた、ヒューマンドラマとしての側面が強い作品です。アーノルド・シュワルツェネッガーの抑制の効いた演技と、アビゲイル・ブレスリンの繊細な表現が、切なくも美しい親子の絆を際立たせています。ゾンビ化の恐怖よりも、残された時間をどう過ごすかという問いかけが、観る者の心に深く突き刺さります。


レビュー


批評家からの評価は賛否両論でした。その静かで内省的なアプローチは、従来のゾンビ映画とは一線を画すと評価された一方で、ホラー要素の不足や、物語の展開が緩慢であると感じる意見もありました。しかし、シュワルツェネッガーの演技は多くの批評家から称賛されました。


考察


『マギー』は、死に向かう過程にある者との向き合い方、家族の愛の深さ、そして社会の規範と個人の感情の衝突といったテーマを探求しています。ゾンビウイルスは、不治の病のメタファーとして捉えることができ、残された時間をいかに尊厳を持って生きるかという普遍的な問いを投げかけています。


ラスト


(ネタバレを含みます)

マギーのゾンビ化が進行し、もはや人間の意識を保てなくなった時、ウェイドは苦渋の決断を下します。彼は、かつてマギーが幼い頃に大切にしていた庭のブランコの下で、自らの手で娘に安らかな眠りを与えるのです。ラストシーンは、ウェイドの深い悲しみと、娘への変わらぬ愛を静かに示唆しています。


視聴できるサイト


配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


『マギー』は、ゾンビウイルスに感染した娘とその父親の、切なくも深い愛情を描いた異色のゾンビドラマです。アーノルド・シュワルツェネッガーとアビゲイル・ブレスリンの演技が光り、従来のゾンビ映画とは異なる、静かで内省的な視点から、生と死、家族の絆を描き出しています。