『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』
概要
- 原題: Super Mario Bros.
- 公開年: 1993年
- 製作国: アメリカ、イギリス
- 監督: ロッキー・モートン、アナベル・ヤンケル
- 脚本: パーカー・ベネット、テリー・ラント、エド・ソロモン
- ジャンル: アクション、アドベンチャー、コメディ、ファンタジー、SF
- 上映時間: 104分
あらすじ
ニューヨークのブルックリンで配管工を営む兄弟、マリオ・マリオ(ボブ・ホスキンス)とルイージ・マリオ(ジョン・レグイザモ)は、地元の水道管の問題解決に日々奔走していました。ある日、ルイージはブルックリン大学の学生で、地球と別の次元の世界をつなぐ隕石の研究をしているデイジー(サマンサ・マシス)と恋に落ちます。
しかし、デイジーは謎の男たちに誘拐されてしまいます。マリオとルイージはデイジーを助けようと、彼女が調査していた地下のトンネルへと飛び込みます。そこで彼らが発見したのは、地球とは似て非なる異世界「ダイノハッタン」でした。
ダイノハッタンは、6500万年前に地球から分岐した平行世界で、進化を遂げた恐竜の子孫たちが人間のような姿で暮らしています。しかし、この世界は冷酷な独裁者クッパ(デニス・ホッパー)によって支配されていました。クッパは、別の次元の入り口である隕石の欠片「魔界帝国の女神」(映画ではメダリオンとして描かれる)を全て手に入れ、二つの世界を統合して支配しようと企んでいます。そしてデイジーこそが、その「魔界帝国の女神」の秘密を握る人物だったのです。
マリオとルイージは、恐ろしいクッパの手下たちや、奇妙な生き物がひしめくダイノハッタンで、キノピオ(フィッシャー・スティーヴンス)やイギー(リチャード・エドソン)、スパイク(フィッシャー・スティーヴンス)といった個性的なキャラクターたちと出会いながら、デイジーを救い、クッパの野望を阻止するために奔走します。彼らは、ビデオゲームの世界とは大きく異なる、荒廃したSF的な世界で、それぞれの能力を活かして戦いを繰り広げます。
主なキャスト
- ボブ・ホスキンス as マリオ・マリオ
- ジョン・レグイザモ as ルイージ・マリオ
- デニス・ホッパー as キング・クッパ
- サマンサ・マシス as デイジー王女
- フィッシャー・スティーヴンス as イギー
- リチャード・エドソン as スパイク
- フィオナ・ショウ as レナ
- ダナ・カヴァナ as ワリオ(※クレジットなし)
- ランス・ヘンリクセン as キング(デイジーの父)
主題歌・楽曲
映画の主題歌は、多くのアーティストによる様々な楽曲が使用されました。
- 「Almost Unreal」 - Roxette (エンディングテーマ曲として有名)
- 「Canned Heat」 - Jamiroquai (劇中曲として使用)
- 「Walk the Dinosaur」 - Was (Not Was) (劇中曲として使用)
- その他、数多くのアーティストの楽曲がサウンドトラックに収録されています。
映画のスコアは、アラン・シルヴェストリが担当しました。
受賞歴
本作は、批評家から厳しい評価を受け、興行的にも成功とは言えなかったため、主要な映画賞の受賞歴はありません。むしろ、ラジー賞(ゴールデンラズベリー賞)にノミネートされた経緯があります。
- ラジー賞1994年: 最悪の助演女優賞(ロザンナ・アーケット)ノミネート
撮影秘話
- 本作は、任天堂の人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」を初めて実写映画化した作品として、大きな注目を集めました。
- しかし、製作は非常に困難を極め、監督の交代や脚本の度重なる変更、予算超過などが報じられました。キャストたちも、撮影現場の混乱を後に語っています。特に、ボブ・ホスキンスやジョン・レグイザモは、撮影が非常にストレスフルであったことを明かしています。
- 当初は、ゲームの世界観を忠実に再現する予定でしたが、監督や脚本家の意向により、よりSF的でダークな世界観へと変更されました。これが、ゲームファンからの賛否両論を招く大きな要因となりました。
- 特撮技術を多用し、ダイノハッタンという異世界を表現しようとしましたが、当時の技術と予算の制約もあり、現在の目で見ると荒削りな部分もあります。
感想
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は、ゲームのファンからは賛否両論、あるいは批判的な意見が多い作品です。原作ゲームの明るくポップなイメージとはかけ離れた、荒廃したSF的な世界観や、キャラクターデザインの変更が主な理由です。しかし、一部のSFファンや、カルト映画的な視点からは、その異質な世界観や、デニス・ホッパー演じるクッパの怪演、ボブ・ホスキンスとジョン・レグイザモの泥臭い演技を評価する声もあります。一般的な視点では、物語のまとまりのなさや、特殊効果の古さが指摘されます。
レビュー
批評家からのレビューは、概ね否定的なものが多かったです。Rotten Tomatoesでは、批評家からの支持率は低い数字に留まっています。「ゲームの成功要素を無視した、混迷した実写映画」といった評価が散見されます。一方で、一部の熱狂的なファンや、特定の視点からは、その独特な世界観や実験的な試みを評価する声も存在し、カルト映画的な地位を確立しています。
考察
本作は、ビデオゲームの実写映画化というジャンルの初期における試行錯誤の典型例と言えます。原作の要素をどこまで取り入れ、どこまで独自の解釈を加えるかという点で、大きな議論を呼びました。結果的に、ゲームのファン層と映画製作者側のビジョンの乖離が、作品の評価に影響を与えました。しかし、この作品があったからこそ、後のゲーム実写化作品が、原作の尊重やファンへの配慮をより意識するようになったとも言えるでしょう。
ラスト
(ネタバレを含みます)
マリオとルイージはクッパの野望を阻止し、デイジーを救出します。最終的にクッパは、彼自身が進化を遂げた恐竜の祖先が液体になった「プライマル・スープ」に戻され、二つの世界の融合は阻止されます。デイジーは元の世界に戻り、マリオとルイージもブルックリンに戻ります。
しかし、数週間後、デイジーは武装した姿でマリオとルイージの元を訪れます。彼女は再び異世界で問題が発生したことを告げ、二人に助けを求めます。マリオとルイージは、ゲームの続編を思わせるような形で、再び異世界へと旅立つ準備をする場面で映画は幕を閉じます。
視聴できるサイト
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- Google Play Movies & TV (レンタル・購入)
- YouTube Movies (レンタル・購入)
- U-NEXT (見放題またはレンタル)
配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。
まとめ
映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は、1993年に公開された任天堂の人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」初のハリウッド実写映画化作品です。ゲームの明るい世界観とは一線を画した、SF的でダークな描写が特徴で、公開当時は賛否両論を巻き起こしました。製作は混乱を極め、批評家からの評価は低かったものの、その異質な世界観やカルト的な魅力から、一部には熱狂的なファンも存在します。ゲーム実写化の歴史において、良くも悪くも大きな足跡を残した作品と言えるでしょう。