『アガサ・クリスティー ねじれた家』
『アガサ・クリスティー ねじれた家』
概要
- 原題: Crooked House
- 公開年: 2017年(日本公開は2018年)
- 製作国: イギリス
- 監督: ジル・パケ=ブランネール
- 脚本: ジュリアン・フェロウズ、ティム・ローズ・プライス、ジル・パケ=ブランネール(アガサ・クリスティーの同名小説に基づく)
- ジャンル: ミステリー
- 上映時間: 115分
あらすじ
私立探偵チャールズ・ヘイワード(マックス・アイアンズ)は、かつて愛した女性の孫娘であるソフィア・レオニデス(ステファニー・マティーニ)から、奇妙な依頼を受けます。彼女の祖父で大富豪のアリスティド・レオニデスが毒殺されたというのです。ソフィアは、この恐ろしい殺人事件の犯人が、自分を含めた「ねじれた家」に住む家族の誰かだと確信し、チャールズに真相の究明を求めます。
チャールズは、巨大な屋敷「ねじれた家」を訪れ、レオニデス家の面々と対面します。そこには、アリスティドの若すぎる後妻ブレンダ(クリスティーナ・ヘンドリックス)、長男の妻マグダ(ジリアン・アンダーソン)、その子供たち、そしてアリスティドの弟や義理の妹など、一癖も二癖もある家族たちが暮らしていました。彼らは皆、それぞれが秘密や動機を抱え、互いに疑心暗鬼に陥っています。
チャールズは、屋敷に渦巻く嘘と裏切り、そして愛憎の複雑な関係の中に分け入り、事件の真相に迫っていきます。しかし、彼は家族の一員であるソフィアを愛しているがゆえに、真実を追うことの苦悩に直面することになります。
主なキャスト
- チャールズ・ヘイワード:マックス・アイアンズ
- ソフィア・レオニデス:ステファニー・マティーニ
- ブレンダ・レオニデス:クリスティーナ・ヘンドリックス
- マグダ・レオニデス:ジリアン・アンダーソン
- イーディス・ド・ハヴィランド:グレン・クローズ
- テレンス・スウィートマン警部:テレンス・スタンプ
主題歌・楽曲
映画の音楽は、クリストファー・ウィリスが手掛けています。特定の主題歌というよりも、物語の雰囲気を盛り上げるクラシックなミステリースコアが特徴です。
受賞歴
本作は、主要な映画賞での目立った受賞歴は確認されていませんが、アガサ・クリスティー作品のファンやミステリー映画愛好家の間で評価されています。
撮影秘話
- アガサ・クリスティー自身が「書くのがとても難しかった」と語ったほどの複雑なプロットを持つ小説の映画化です。
- ロケ地は主にロンドンの周辺で行われ、特に「ねじれた家」の雰囲気を再現するために、ゴシック調の豪華な邸宅が使用されました。
- 豪華なキャスト陣が揃い、それぞれのキャラクターが持つ個性を際立たせる演技が見どころです。特にグレン・クローズやジリアン・アンダーソンといったベテラン勢の存在感が光ります。
感想
『アガサ・クリスティー ねじれた家』は、古典的な密室殺人ミステリーの雰囲気を現代的に再構築した作品です。豪華なセットと衣装、個性的な登場人物たちが織りなす人間模様が魅力的で、最後まで犯人が誰か分からない緊張感が持続します。アガサ・クリスティー作品特有の、意外な真実が明かされる結末は、ミステリーファンを満足させるでしょう。
レビュー
批評家からの評価は賛否両論ありました。その複雑なプロットと意外な結末、そして豪華なキャスト陣の演技は高く評価されましたが、原作小説のファンからは、一部の脚色やキャラクター描写に異論が出ることもありました。全体的には、古典ミステリーの映画化として、楽しめる作品という評価が多いです。
考察
「ねじれた家」というタイトルが示す通り、レオニデス家は一見裕福で秩序だった家族に見えながら、内面には深い秘密、憎悪、そして愛憎が渦巻いています。映画は、表面的な家族の絆の下に隠された人間の本質や、富と権力がもたらす歪みを深く掘り下げています。また、チャールズが真実を追い求める中で、愛する人への感情と探偵としての使命の間で葛藤する姿も、物語の重要な要素となっています。
ラスト
(ネタバレを含みます)
アリスティド・レオニデスの毒殺事件の真相は、チャールズの捜査によって驚くべき形で明らかになります。犯人は、外部の人間や一般的な容疑者ではなく、レオニデス家の最も若い子供である、ジョセフィン(プレスコット・アトウッド)でした。
ジョセフィンは、好奇心旺盛で大人びた印象を与える少女でしたが、その内面には歪んだ好奇心と、自分の望みを叶えるためにはどんなことでもするという恐ろしいサイコパス的な性質を秘めていました。彼女は、探偵小説を読み漁り、殺人を「ゲーム」として捉えており、退屈しのぎに祖父を殺害。さらに、自分の行動を隠蔽するために、別の家族メンバーにも危害を加えようとします。
チャールズは真実を知り、大きな衝撃を受けます。特に、愛するソフィアの幼い妹が殺人者であるという事実に苦悩します。最終的に、チャールズはジョセフィンの犯行を確信するものの、家族の崩壊を防ぐため、そして何よりもソフィアを守るため、真実を隠蔽し、別の家族のメンバーを犯人として仕立て上げるという苦渋の決断を下します。
映画のラストは、チャールズが手記に真実を記しながらも、それを公開しないことを示唆します。彼が背負った重い秘密と、ねじれた家の暗い真実が、観客に深い問いかけを残す結末となっています。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video (レンタル・購入)
- U-NEXT (見放題またはレンタル・購入)
- Hulu (レンタル・購入)
- Lemino (レンタル・購入)
- Google Play Movies & TV (レンタル・購入)
- YouTube Movies (レンタル・購入)
配信状況は変更される可能性がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。
まとめ
『アガサ・クリスティー ねじれた家』は、巨匠アガサ・クリスティーの小説を原作とした2017年のイギリス映画です。大富豪毒殺事件の謎を追う探偵チャールズが、一見正常に見えるが内面に闇を抱える「ねじれた家」の家族たちと対峙します。豪華キャスト陣の演技と、複雑に絡み合う人間関係、そしてアガサ・クリスティーならではの衝撃的な結末が魅力の作品です。古典的なミステリーの魅力と、現代的な映像美が融合した一作として、ミステリーファンには特におすすめです。