『TUBE チューブ 死の脱出』





概要


  • 原題: Méandre
  • 英題: Meander
  • 日本公開題: TUBE チューブ 死の脱出
  • 製作年: 2020年
  • 製作国: フランス
  • 監督: マチュー・トゥリ
  • 脚本: マチュー・トゥリ、ステファニー・トゥリ
  • ジャンル: スリラー、SF、ホラー
  • 上映時間: 91分


あらすじ


見知らぬ男に拉致された若い女性エヴァ(ガイア・ワイス)は、目を覚ますと狭く曲がりくねった金属製のチューブの中に閉じ込められていた。前後には出口がなく、彼女は自分がどこにいるのか、なぜここにいるのか全く分からない。

やがてチューブの壁には時間を示すカウントダウンが表示され、時間切れになると容赦なく火炎放射器が作動し、エヴァを焼き殺そうとする。生き残るためには、次々と現れる危険な仕掛けやトラップを掻い潜り、チューブの先に現れる次の区画へと進むしかない。

エヴァは、同じようにチューブの中に閉じ込められた他の生存者たちと出会う。彼らもまた、理由も分からずこの死の迷宮に囚われている。協力しようとする者、絶望する者、そして狂気に陥る者。エヴァは、極限状態の中で自身のサバイバル能力を試されながら、この悪夢のような迷路からの脱出を試みる。彼女は、なぜ自分がここにいるのかという謎を解き明かし、この死の連鎖を断ち切ることができるのか?


主なキャスト


  • エヴァ:ガイア・ワイス
  • アダム:ピーター・フランツェン
  • ルーカス:ロマン・カネパ
  • セルヴァ:フレデリック・ミュラー


主題歌


映画の音楽は、フレデリック・ポリエが作曲しました。閉鎖的な空間の不気味さや、エヴァの焦燥感を掻き立てるような、緊張感のあるスコアが特徴です。特定の主題歌というよりは、全体を通して不安感を煽る音楽が効果的に使用されています。


受賞歴


この映画は、ファンタスティック映画祭などのジャンル映画祭で上映され、いくつかのノミネートや受賞を果たしています。例として、以下のようなものがあります。

  • シッチェス・カタロニア国際映画祭2020: オフィシャル・ファンタスティック・コンペティション部門 ノミネート
  • ジェラルメ国際ファンタスティック映画祭2021: 批評家賞 受賞


撮影秘話


  • 映画の舞台となる狭いチューブ状のセットは、限られた空間の中で最大限の緊張感を生み出すように設計されました。
  • 主演のガイア・ワイスは、ほぼ全編にわたって狭いチューブの中での演技を強いられ、肉体的にも精神的にも過酷な撮影だったことが伺えます。
  • 監督のマチュー・トゥリは、限られたシチュエーションの中で、視覚的な変化やスリリングな展開をどのように作り出すかに苦心したと語っています。


感想


『TUBE チューブ 死の脱出』は、その斬新な設定と、息詰まるようなサスペンスが魅力の作品です。狭いチューブの中という極限状態が生み出す閉塞感と、次々と襲いかかるトラップの恐怖が、観る者を最後まで экранаに釘付けにします。ガイア・ワイスの鬼気迫る演技も素晴らしく、観客は彼女と共にこの悪夢のような脱出劇を体験することになります。SF的な要素も含まれており、なぜこのような状況に陥ったのかという謎も物語を牽引する力となっています。


レビュー


海外のレビューでは、その独創的なアイデアと、スリリングな展開が高く評価されています。限られた空間を舞台に、飽きさせない工夫が凝らされている点や、主演女優の演技力が称賛されています。一方で、物語の背景や設定に関する説明が不足しているという意見や、ラストの解釈が分かれるという指摘もあります。しかし、全体的には、低予算ながらもアイデアと演出で魅せる、良質なスリラー映画として評価されています。


考察


『TUBE チューブ 死の脱出』は、極限状態における人間の心理を描いた作品とも言えます。エヴァをはじめとする登場人物たちは、生死をかけた状況の中で、協力、裏切り、絶望など、様々な感情を露わにします。また、なぜ彼らがこのような場所に囚われたのかという謎は、現代社会に対するメタファーとしても解釈できるかもしれません。無作為に選ばれ、理由も分からず死のゲームを強いられる人々の姿は、不条理な社会構造や、見えない力によって翻弄される人々の姿を暗示しているとも考えられます。


ラスト


(ネタバレを含みますのでご注意ください)


エヴァは、数々の困難を乗り越え、ついにチューブの出口らしき場所にたどり着きます。そこで彼女は、この迷宮を操る謎の存在と対峙することになります。

ラストシーンは、エヴァがこの残酷なゲームから完全に解放されたのか、それとも新たな試練が待ち受けているのか、曖昧な形で終わります。彼女が脱出した先の世界もまた、何らかの異質な空間である可能性が示唆されており、この悪夢のような状況の根源は依然として謎に包まれています。


視聴できるサイト


配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


『TUBE チューブ 死の脱出』(原題:Méandre)は、狭いチューブの中という斬新な設定で、観る者を最後まで惹きつけるフランスのスリラー映画です。拉致された女性が、死のトラップが仕掛けられた迷宮からの脱出を図る姿を、息詰まるようなサスペンスと独創的な映像で描き出しています。主演のガイア・ワイスの熱演も見どころであり、低予算ながらもアイデアと演出で魅せる、記憶に残る一本となるでしょう。ラストの衝撃的な展開も、観る者に深い問いかけを残します。