『ラブリーボーン』
『ラブリーボーン』
概要
- 原題: The Lovely Bones
- 公開年: 2009年(アメリカ)、2010年(日本)
- 製作国: アメリカ、イギリス、ニュージーランド
- 監督: ピーター・ジャクソン
- 脚本: フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン(アリス・シーボルドの同名小説に基づく)
- ジャンル: ドラマ、ファンタジー、スリラー
- 上映時間: 135分
あらすじ
1973年、アメリカの郊外に住む14歳の少女スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は、近所に住む内気な男性ジョージ・ハーベイ(スタンリー・トゥッチ)に殺害されてしまいます。天国と地上の中間のような世界「インビトゥイーン」に魂だけが存在するようになったスージーは、愛する家族を見守りながら、自身の死の真相が明らかになることを願っています。
地上に残されたスージーの家族は、突然の悲劇に打ちひしがれます。父ジャック(マーク・ウォールバーグ)は犯人を突き止めようと執念深く捜査を始め、母アビゲイル(レイチェル・ワイズ)は悲しみに耐えきれず心を閉ざしてしまいます。スージーの妹リンジー(ローズ・マクアイヴァー)は、姉の残した痕跡から事件の真相に近づいていきます。
インビトゥイーンから家族を案じるスージーは、時に干渉しようと試みますが、その力は及ばずもどかしい思いを抱えます。彼女は、自身の死を受け入れ、家族が悲しみを乗り越えて前に進むことを願うようになります。
主なキャスト
- スージー・サーモン:シアーシャ・ローナン
- ジョージ・ハーベイ:スタンリー・トゥッチ
- ジャック・サーモン(父):マーク・ウォールバーグ
- アビゲイル・サーモン(母):レイチェル・ワイズ
- リンジー・サーモン(妹):ローズ・マクアイヴァー
- グランドマザー・リン(祖母):スーザン・サランドン
主題歌
映画のサウンドトラックはブライアン・イーノが作曲しました。特定の主題歌というよりは、幻想的で感情的なスコアが映画全体を彩っています。
受賞歴
- ゴールデングローブ賞 助演男優賞(スタンリー・トゥッチ)ノミネート
- アカデミー助演男優賞(スタンリー・トゥッチ)ノミネート
- 英国アカデミー賞 助演男優賞(スタンリー・トゥッチ)ノミネート
- 放送映画批評家協会賞 助演男優賞(スタンリー・トゥッチ)受賞、若手女優賞(シアーシャ・ローナン)ノミネート
- その他、多くの映画賞でノミネートされています。
撮影秘話
- 原作はアリス・シーボルドの世界的ベストセラー小説です。
- 監督のピーター・ジャクソンは、原作の持つ独特な世界観と感情的な深さに魅了され、映画化を熱望しました。
- スージーが過ごす「インビトゥイーン」の映像表現には、最新のVFX技術が駆使され、幻想的で美しい世界が創り上げられました。
- 撮影は、アメリカのペンシルベニア州やニュージーランドなどで行われました。
感想
『ラブリーボーン』は、痛ましい事件をファンタジーの要素を交えながら描いた、深く感動的な作品です。シアーシャ・ローナンの繊細な演技、スタンリー・トゥッチの不気味で印象的な演技、そしてピーター・ジャクソンの独創的な映像表現が見どころです。死者の視点から残された家族を見守るという斬新な視点を通して、喪失、悲しみ、そして再生のテーマが描かれています。
レビュー
批評家からの評価は賛否両論でした。映像美や俳優の演技は高く評価された一方で、原作の持つ複雑な感情やテーマが十分に描ききれていないという意見や、ファンタジー要素と現実の悲劇のバランスに違和感を覚えるという声もありました。しかし、多くの観客の心を揺さぶる感動作として受け入れられています。
考察
この映画は、暴力犯罪が家族に与える壊滅的な影響、残された人々の悲しみと再生への道のり、そして死者の魂が抱く未練や愛を描いています。スージーの視点を通して、生と死、現実と幻想の境界線が曖昧になり、観る者はそれぞれの感情と向き合うことになります。また、犯人の内面や行動も描かれることで、人間の心の闇についても深く考えさせられます。
ラスト
(ネタバレを含みます)
事件の真相が明らかになり、犯人であるジョージ・ハーベイは最終的に事故死します。スージーは、家族がそれぞれの悲しみを乗り越え、前に進む決意をしたのを見届け、インビトゥイーンから完全に解放され、光の中へと消えていきます。ラストシーンは、悲しみの中に希望の光が差し込むような、感動的な結末となっています。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video
- Netflix
- Hulu
- U-NEXT
- Google Play Movies & TV
- YouTube Movies
配信状況は変更される場合がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。
まとめ
『ラブリーボーン』は、少女の死を通して、残された家族の悲しみと再生、そして死者の魂の視点を描いた、ピーター・ジャクソン監督による感動的なファンタジードラマです。美しい映像と俳優たちの演技が印象的で、喪失と希望という普遍的なテーマを深く考えさせられる作品です。