『ゾンビボーダーランド ~めざせ!アンデッドのいない国境地帯へ~』





概要


  • 原題: Poslednji Srbin (英語題:The Last Serb in Croatia)
  • 公開年: 2019年
  • 監督: プレドラグ・リチナ (Predrag Ličina)
  • ジャンル: コメディ、ホラー、SF
  • 製作国: クロアチア、セルビア
  • 特徴: ポスト・アポカリプス的なゾンビパンデミックを舞台に、旧ユーゴスラビアの民族間の複雑な関係をブラックユーモアたっぷりに描いた異色作。


あらすじ


2032年、ヨーロッパ全土を謎のゾンビパンデミックが襲う。しかし、なぜかクロアチアだけはゾンビが発生しない「安全地帯」となっていた。セルビア人のミチャは、酔っ払って眠りこけていた間に、唯一のゾンビとして目覚めてしまう。

アンデッドがいない国クロアチアで、文字通り「最後のセルビア人ゾンビ」となったミチャは、生き残った人々から激しい差別と迫害を受ける。彼は、ゾンビではないと主張するが、誰も信じてくれない。そんな中、ミチャは自分の血にゾンビ化を遅らせる特殊な抗体が含まれていることを知る。

クロアチアの製薬会社は、ミチャの血を利用してパンデミックを食い止めようと画策するが、その裏には様々な陰謀が渦巻いていた。ミチャは、自分を捕獲しようとする人々や、自身のゾンビとしての本能と戦いながら、アンデッドのいないとされる国境地帯を目指すことになる。道中、同じように生き残りを図る人々との出会いや別れを経験し、皮肉とユーモアに満ちたサバイバル劇が繰り広げられる。


キャスト


  • クレシミル・ミキッチ (Krešimir Mikić): ミチャ (主人公のセルビア人ゾンビ)
  • フリスティーナ・ポポヴィッチ (Hristina Popović): ソーニャ (ミチャと行動を共にする女性)
  • ティハナ・ラゾヴィッチ (Tihana Lazović): イェレナ (製薬会社の野心的な研究者)
  • ダド・チョーシッチ (Dado Ćosić): ヴェスコ (ミチャを追う自警団のリーダー)


主題歌


特定の主題歌に関する情報は、現時点では見当たりません。映画のサウンドトラックは、バルカン半島の民族音楽の要素を取り入れたものが使用されている可能性があります。


受賞歴


この映画は、その独創的な設定と社会風刺的な内容で、いくつかの映画祭で注目を集めました。具体的な受賞歴については、現時点では詳細な情報が見当たりません。


撮影秘話


  • 監督のプレドラグ・リチナは、ゾンビというジャンルを通して、旧ユーゴスラビアの複雑な民族関係やステレオタイプをユーモラスに描くという斬新なアイデアで本作を制作しました。
  • 撮影はクロアチア各地で行われ、荒廃した風景や、現代的な都市の様子が、パンデミック後の世界観を表現しています。
  • 主演のクレシミル・ミキッチは、ゾンビでありながら人間的な感情を持つ難しい役どころを見事に演じきりました。


感想


『ゾンビボーダーランド』は、単なるゾンビ映画ではありません。ブラックユーモアと社会風刺が絶妙にブレンドされており、観客は笑いながらも、民族間の対立や偏見といった重いテーマについて考えさせられます。ゾンビという非現実的な存在を通して、現実社会の不条理や人間の本質を浮き彫りにする、非常にユニークな作品です。


レビュー


レビューサイトや批評家からの評価は、その斬新なコンセプトとユーモアのセンスが高く評価されています。一方で、民族間の問題を扱っているため、一部の観客にはデリケートな内容と感じられる可能性もあります。しかし、全体的には、エンターテイメント性と社会性を兼ね備えた、異色のゾンビコメディとして支持されています。


考察


  • 民族間の対立と偏見: 映画の根底には、旧ユーゴスラビアの歴史的な背景にある民族間の対立やステレオタイプが描かれています。ゾンビという存在を通して、不寛容や差別といった普遍的な問題が浮き彫りになります。
  • アイデンティティの危機: 主人公のミチャは、唯一のゾンビとして、自身のアイデンティティに葛藤します。人間として生きたいという願望と、ゾンビとしての本能の間で揺れ動く彼の姿は、社会の中で少数派として生きる人々の苦悩を象徴しているとも言えます。
  • パンデミックと社会の変化: ゾンビパンデミックという極限状態において、社会の秩序が崩壊し、人々の価値観や行動が変化していく様子が描かれています。


ラスト


映画のラストは、ミチャが国境地帯を目指す旅の結末を描いています。彼が本当にアンデッドのいない場所を見つけることができるのか、そして、彼の血に秘められた抗体が人類を救うのかどうかは、曖昧に残されています。希望の光が見える一方で、依然として厳しい現実が横たわっていることを示唆するような、示唆に富んだエンディングとなっています。


視聴できるサイト



まとめ


『ゾンビボーダーランド ~めざせ!アンデッドのいない国境地帯へ~』は、ゾンビ映画の枠を超えた、異色作です。旧ユーゴスラビアの複雑な歴史的背景をユーモアと風刺を交えて描き出し、観る者に深い印象を与えます。

ゾンビ映画ファンだけでなく、社会派コメディや異文化理解に関心のある方にもおすすめできる作品です。視聴機会があれば、ぜひその独特な世界観を体験してみてください。