『ヴォイジャー』





概要


  • 原題: Voyagers
  • 公開年: 2021年(日本公開:2022年3月25日)
  • 製作国: アメリカ合衆国、イギリス、チェコ、ルーマニア
  • 監督: ニール・バーガー(『ダイバージェント』)
  • 脚本: ニール・バーガー
  • ジャンル: SF、スリラー、アドベンチャー
  • 上映時間: 108分
  • 映倫区分: G
  • 別タイトル: Entangled


あらすじ


地球の環境が悪化し、人類は滅亡の危機に瀕していました。科学者たちは居住可能な新たな惑星を発見し、そこへ人類を送り込む壮大な計画を実行します。惑星への航行には86年という長い年月がかかるため、乗組員として選ばれたのは、優秀な遺伝子を持つ人工授精で生まれた30人の子供たち。彼らは宇宙船内で成長し、世代交代を繰り返しながら惑星を目指すことになります。

子供たちの指導役として、唯一の成人であるチーフ・セキュリティ・オフィサーのリチャード(コリン・ファレル)が同行します。子供たちは宇宙船という閉鎖された環境で、感情や欲望を抑制する薬を投与されながら、厳格な訓練を受け、使命を果たすように育てられます。

地球出発から10年後、青年期を迎えたクリストファー(タイ・シェリダン)とザック(フィオン・ホワイトヘッド)は、自分たちが毎食摂取している青い液体が感情を抑える薬だと気づきます。薬の服用をやめた彼らを皮切りに、他の乗組員たちも次第に薬を拒否し始め、抑圧されていた本能がむき出しになっていきます。

理性的な指導者を失った宇宙船内は、次第に欲望と暴力が支配する狂乱状態へと陥っていきます。彼らは、自分たちが直面している本当の脅威が、宇宙船の外にあるものなのか、それとも内なる本性なのか分からなくなっていきます。


キャスト


  • クリストファー:タイ・シェリダン(『レディ・プレイヤー1』)
  • セラ:リリー=ローズ・デップ
  • ザック:フィオン・ホワイトヘッド(『ダンケルク』)
  • リチャード:コリン・ファレル(『THE BATMAN -ザ・バットマン-』)
  • フィービー:シャンテ・アダムズ
  • ザンディ:ルー・ロブエル
  • ピーター:ヴィヴェイク・カルラ
  • カイ:アーチー・マデクウィ
  • アンダ:マディソン・フー
  • ジュリー:クインタッサ・スウィンドル


主題歌


映画の音楽はトレヴァー・ガレキスが担当しましたが、特定の主題歌は存在しません。


受賞歴


現時点では、『ヴォイジャー』が主要な映画賞を受賞したという情報は確認できませんでした。


撮影秘話


  • 監督のニール・バーガーは、本作の脚本も務めています。
  • 撮影は、主にルーマニアのブカレストで行われました。
  • 宇宙船内の閉塞感や、若者たちの心理状態の変化を表現するために、独特な映像表現が用いられています。
  • 出演者の多くが若手俳優で、閉鎖された空間における人間関係の緊張感をリアルに演じています。


感想


『ヴォイジャー』は、人類の未来を託された若者たちが、極限状態の中で本能を剥き出しにしていく様を描いたSFスリラーです。「宇宙版『蠅の王』」とも評されるように、文明社会から隔絶された環境における人間の本質や、集団心理の恐ろしさを描いています。前半のSF的な設定から、後半にかけてサスペンスフルな展開を見せる点が特徴です。


レビュー


レビューは賛否両論あります。

  • 肯定的な意見: 斬新な設定、若手俳優たちの熱演、閉塞感のある映像、後半のサスペンスなどが評価されています。人間の本質や文明の脆さといったテーマについても深く考えさせられるという声もあります。
  • 否定的な意見: ストーリー展開が予測可能、キャラクター描写が浅い、倫理的な問題を十分に掘り下げていない、などといった点が指摘されています。SF的な設定と人間ドラマのバランスが悪いと感じる観客もいました。


考察


本作は、人類の存続という壮大なテーマを背景に、若者たちが置かれた特殊な状況下で、理性や倫理観が崩壊していく過程を描いています。感情を抑制する薬という設定は、人間の本能や欲望がいかに強力であるかを際立たせています。また、指導者を失った集団がどのように秩序を失い、暴力へと向かっていくのかを描くことで、社会や文明の基盤となるルールや倫理の重要性を問いかけています。


ラスト


(ネタバレを含みますのでご注意ください)

物語は、生き残ったクリストファーとセラが、世代を超えて受け継がれる使命を胸に、新たな惑星への到着を迎える形で幕を閉じます。

彼らの間には自然な愛が芽生え、計画されていた人工的な繁殖ではなく、自然な形で子供をもうけます。未来への希望が示唆される一方で、彼らが築く新たな社会がどのようなものになるのかは、不確かなまま終わります。


視聴できるサイト


2025年4月23日現在、日本では以下の配信サービスで『ヴォイジャー』を視聴できる可能性があります。

  • Amazon Prime Video
  • WOWOWオンデマンド
  • U-NEXT
  • Hulu
  • TELASA

配信状況は変更される可能性がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。


まとめ


『ヴォイジャー』は、地球滅亡の危機を脱するために宇宙へと旅立った若者たちが、極限状態の中で人間の本性を露わにしていくSFスリラーです。『ダイバージェント』のニール・バーガー監督が、閉鎖された宇宙船内を舞台に、予測不能な人間ドラマを描き出しています。賛否両論ありますが、その独特な設定と衝撃的な展開は、観る者の心に深く刻まれるかもしれません。