『エクソシスト ビギニング』
『エクソシスト ビギニング』
概要
- 原題: Exorcist: The Beginning
- 邦題: エクソシスト ビギニング
- 公開年: 2004年(アメリカ)
- 監督: レニー・ハーリン
- 脚本: アレックス・ガーランド、ケイレブ・カー
- 製作: ジェームズ・G・ロビンソン、ガイ・マッケロイ、ジェフ・スタイン
- ジャンル: ホラー、スリラー、サスペンス
- 上映時間: 114分
あらすじ
第二次世界大戦終結から数年後。かつて神父でありながら信仰を捨てたランキン・メリン(ステラン・スカルスガルド)は、考古学者として東アフリカの奥地で発掘調査に参加しています。そこで発見されたのは、西暦5世紀頃に建てられたと思われるにも関わらず、明らかに埋められた形跡のない奇妙な教会でした。
教会の周囲では不吉な出来事が次々と起こり始め、村人たちは恐れおののいています。調査を進めるメリンは、この教会が単なる宗教施設ではなく、古代から存在する邪悪な存在を封じ込めるために建てられたことを知ります。
やがて、村の少年チーマ(イスラエル・ロドリゲス)が不可解な症状に見舞われ、悪霊に取り憑かれたような状態に陥ります。教会に秘められた邪悪な力が目覚め始めたことを悟ったメリンは、信仰を取り戻し、悪魔祓い(エクソシズム)を行うことを決意します。信仰心の篤いサラ医師(イザベラ・スコルプコ)と共に、メリンは強大な悪霊との壮絶な戦いに身を投じていきます。
キャスト
- ランキン・メリン神父:ステラン・スカルスガルド
- サラ医師:イザベラ・スコルプコ
- チーマ:イスラエル・ロドリゲス
- エミール神父:ジェームズ・ダーシー
- セミリア:クララ・ベルナルディ
- ケーシー少佐:ベン・クロス
- ジェフリーズ軍曹:ジュリアン・ワダム
主題歌
この映画には、特定の主題歌というよりも、トレヴァー・ラビンが作曲した不気味で緊張感を煽るスコアが全編にわたって使用されています。
受賞歴
主要な映画賞での受賞歴はありません。ホラー映画というジャンルであることや、批評家からの評価が芳しくなかったことが影響していると考えられます。
撮影秘話
- 本作は、1973年の名作ホラー『エクソシスト』の前日譚として企画されました。
- 当初はポール・シュレイダー監督による『Dominion: Prequel to the Exorcist』が撮影されましたが、スタジオの意向により公開が見送られ、レニー・ハーリン監督によってほぼ同じ脚本で改めて撮影されました。そのため、本作と『Dominion』は設定やストーリーが非常に似通っています。
- 撮影はモロッコなどで行われ、荒涼としたアフリカの風景が不気味な雰囲気を醸し出しています。
- ステラン・スカルスガルドは、若き日のランキン・メリンを演じるにあたり、内面の葛藤や過去のトラウマを表現することに苦心したとされています。
感想
『エクソシスト』の前日譚という期待感を持って鑑賞すると、やや物足りなさを感じるかもしれません。レニー・ハーリン監督らしいスピーディーな演出やショッキングな描写はあるものの、オリジナル版が持つような深層的な恐怖や心理的な圧迫感には及ばないという意見が多く見られます。ステラン・スカルスガルドの演技は評価されていますが、物語全体の構成や悪霊の描写など、いくつかの点で賛否が分かれる作品です。
レビュー
批評家からの評価は概して低いものでした。ストーリーの展開が遅い、恐怖演出が表面的である、オリジナル版の持つ知的で深遠な恐怖が薄れているなどが主な批判点です。ただし、一部の観客からは、前日譚としての設定や、アフリカの異質な風景が生み出す不気味さを評価する声もありました。
考察
本作は、『エクソシスト』で描かれた悪霊パズズの起源や、ランキン・メリン神父が信仰を失う過去の出来事を描こうとしています。戦争のトラウマや信仰の喪失、そして古代から存在する悪の力といったテーマが提示されていますが、十分に掘り下げられているとは言えません。悪霊の存在を単なる脅威として描いており、オリジナル版が持っていた人間の内面の脆弱性や悪の根源といった深い考察には至っていません。
ラスト
(ネタバレを含みます)
激しい戦いの末、メリンは悪霊を教会から追い出すことに成功します。しかし、その過程で多くの犠牲が出ます。ラストシーンでは、メリンは再び神父としての信仰を取り戻し、教会を後にします。彼の表情には、深い苦悩と、悪との戦いを終えた安堵感が入り混じっています。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video
- U-NEXT
- Hulu
- Google Play Movies & TV
- YouTube Movies
配信状況は変更される可能性がありますので、各サービスの最新情報を確認してください。
まとめ
『エクソシスト ビギニング』は、ホラー映画の金字塔『エクソシスト』の前日譚として製作されましたが、オリジナル版ほどの高い評価は得られませんでした。レニー・ハーリン監督による演出やステラン・スカルスガルドの演技は見どころですが、物語の深さや恐怖演出の点で賛否が分かれる作品です。オリジナル版のファンであれば、その起源を知る上で一度は観てみる価値があるかもしれません。