映画『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』(原題:Nerve)







概要


  • 原題: Nerve
  • 邦題: NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム
  • 公開年: 2016年(日本公開は2017年)
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン
  • 脚本: ジェシカ・シャーザー(ジーン・ライアンの小説『Nerve』に基づく)
  • ジャンル: スリラー、アドベンチャー
  • 上映時間: 96分


あらすじ


内気な高校生ヴィー(エマ・ロバーツ)は、親友シドニー(エミリー・ミード)の積極的な性格とは対照的に、目立つことを避けて生きていました。しかし、ある日、人気オンラインゲーム「ナーヴ」が話題になっていることを知ります。ナーヴは、プレイヤーが「チャレンジャー」となり、視聴者(「ウォッチャー」)から出される「挑戦(Dare)」をクリアすることで報酬を得られるというもの。ウォッチャーはチャレンジャーに資金を提供し、挑戦の指示を出すことで、ゲームの進行に影響を与えます。

シドニーがナーヴで活躍する姿に刺激され、また、自分の人生を変えたいという思いから、ヴィーも衝動的にチャレンジャーとしてゲームに参加します。最初の挑戦は、見知らぬ男性とキスをすること。そこで彼女は、同じくチャレンジャーであるイアン(デイヴ・フランコ)と出会います。ウォッチャーたちは、相性の良さそうなヴィーとイアンに次々と挑戦を出し、二人は協力してゲームを進め、高額な賞金と人気を獲得していきます。

しかし、ゲームが進むにつれて、挑戦は次第に危険で過激なものになっていきます。ウォッチャーたちの要求はエスカレートし、二人は引き返すことのできない状況に追い込まれます。そして、ナーヴが単なるゲームではなく、参加者たちのプライバシーをすべて掌握し、彼らを完全に支配する恐ろしいシステムであることに気づきます。命の危険を感じたヴィーとイアンは、この狂気のゲームから脱出し、真の自由を取り戻すために立ち上がります。


キャスト


  • ヴィー・デラモニカ: エマ・ロバーツ
  • イアン: デイヴ・フランコ
  • シドニー: エミリー・ミード
  • トミー: マイルズ・ハイザー
  • タイ: マシン・ガン・ケリー(MGK)
  • ナンシー: ジュリエット・ルイス


主題歌・楽曲


映画の音楽はロブ・シモンセンが担当しました。特定の主題歌というよりも、現代的でテンポの良いサウンドトラックが特徴で、劇中のデジタルな世界観や高揚感を表現しています。挿入歌として、以下のようなアーティストの楽曲が使用されています。

  • "Electric Love" by BØRNS
  • "Ride" by Twenty One Pilots
  • "Blackout" by The Americanos ft. Lil Jon, Tyga & A $ AP Ferg


受賞歴


本作は、主要な映画賞の受賞歴は確認できませんでした。


撮影秘話


  • 本作は、インターネットやソーシャルメディアの匿名性、そしてその影響力をテーマにしており、SNS時代の若者たちに響くように作られました。
  • 監督のヘンリー・ジューストとアリエル・シュルマンは、ドキュメンタリー映画『Catfish』(邦題:キャットフィッシュ)でインターネット上の人間関係の闇を描いており、デジタル社会における人間の行動心理を熟知しています。
  • 撮影は主にニューヨークで行われ、タイムズスクエアや高層ビルなど、都市の象徴的な場所がゲームの舞台として登場します。
  • 作中の「挑戦」は、アクロバティックで危険なものが多く、スタントやCGIも駆使して撮影されました。


感想


『NERVE/ナーヴ』は、現代のSNS社会や動画配信ブームを鋭く風刺したスリラーとして、非常に魅力的な作品です。ゲームがエスカレートしていく過程での緊迫感、そして視聴者の匿名性と無責任さが生み出す狂気は、観客に強いメッセージを投げかけます。エマ・ロバーツとデイヴ・フランコのケミストリーも良く、若者たちの危うい魅力を引き出しています。エンターテイメントとして楽しめる一方、SNSの危険性や集団心理の恐ろしさを考えさせられる内容となっています。


レビュー


批評家からのレビューは賛否両論でした。その現代的なテーマとスピーディーな展開、そして主演二人の演技は評価された一方で、ストーリーの深みやキャラクターの掘り下げが不十分であるという意見もありました。しかし、若者層やSNS利用者からは、そのリアルな描写とスリルが支持され、高評価を得ています。特に、デジタル社会における倫理的な問題を提起する作品として注目されました。


考察


この映画は、現代のインターネット社会における「いいね!」や「視聴回数」といった承認欲求が、いかに人を危険な行動へと駆り立てるかを描いています。匿名性が保証されたウォッチャーたちが、チャレンジャーに過激な行動を要求する集団心理は、SNSの炎上やサイバーいじめなど、現実世界の闇と重なります。また、ゲームが「挑戦」と「ペナルティ」の選択を迫ることで、人間の自由意志がテクノロジーによっていかに簡単に操作されうるかを示唆しています。


ラスト


ネタバレを含みます) 


ゲームの最終段階で、ヴィーとイアン、そして他のチャレンジャーたちは、観客(ウォッチャー)によって投票される「真のチャレンジャー」を選出し、その二人が命がけの最終対決に挑むことになります。しかし、ヴィーは、この狂気のゲームを終わらせるために、ウォッチャーたちに直接訴えかけます。

最終対決の場で、彼女は自分たちがウォッチャーの匿名性を利用した犠牲者であると告発し、ウォッチャー全員のIPアドレスを公開する仕掛けを用意します。そして、彼女は「今、このゲームを終わらせるか、それともお前たちの身元がすべて暴露されるかだ」と突きつけます。

ウォッチャーたちはパニックに陥り、次々とゲームからログアウトし始めます。これにより、ナーヴのシステムは崩壊し、ゲームは強制的に終了します。ヴィーとイアンは自由を取り戻し、自分たちの人生を自分たちの意思で選ぶことの重要性を学びます。


視聴できるサイト


これらのサービスでは、レンタルまたは購入での視聴が可能な場合が多いです。最新の配信状況は、各プラットフォームでご確認ください。


まとめ


映画『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』(原題:Nerve)は、2016年公開の、SNS時代のオンラインゲームを題材にしたスリラー映画です。内気な高校生ヴィーが、危険な挑戦をクリアして報酬を得る「ナーヴ」というゲームに参加し、人気を集める中で、その恐ろしい本質に気づき、ゲームからの脱出を試みる物語です。エマ・ロバーツとデイヴ・フランコの共演が魅力で、現代社会における匿名性や承認欲求、集団心理の危険性を鋭く風刺した作品として、観客に強いメッセージを投げかけます。スリリングな展開と視覚的な魅力も高く評価されました。