『アダムス・ファミリー2』
映画『アダムス・ファミリー2』(原題:Addams Family Values)
概要
- 原題: Addams Family Values
- 邦題: アダムス・ファミリー2
- 公開年: 1993年(日本公開:1994年)
- 製作国: アメリカ
- 監督: バリー・ソネンフェルド
- 脚本: ポール・ルーディック、スコット・ルドゥック(チャールズ・アダムスのキャラクターに基づく)
- ジャンル: コメディ、ファンタジー、ブラックコメディ
- 上映時間: 94分
あらすじ
アダムス・ファミリーに待望の赤ちゃんが誕生し、一家は大喜びします。しかし、生まれたばかりのプーバータは、家族の誰もが予想もしなかった「可愛らしい」赤ん坊でした。ゴメスとモーティシアはプーバータの可愛さにメロメロですが、ウェンズデーとパグズリーは、自分たちと異なるプーバータを疎ましく思います。
プーバータの世話係として、一家はベビーシッターのデビー・ジェリンスキーを雇います。しかし、デビーには恐ろしい秘密がありました。彼女は金持ちの男と結婚し、遺産を奪うために夫を殺害する「ブラック・ウィドウ(毒婦)」として知られる連続殺人犯だったのです。デビーの次のターゲットは、なんとアダムス・ファミリーのフェスターおじさんでした。
デビーはフェスターを誘惑し、結婚にまで持ち込みます。そして、アダムス・ファミリーの子供たち、ウェンズデーとパグズリーを、ファミリーの異常なライフスタイルを矯正するため、デビーが管理するサマーキャンプ「キャンプ・チッペワ」に送り込みます。アダムス家の子供たちは、そこで強制的に明るく健全な活動をさせられることに反発し、革命を起こそうとします。
アダムス・ファミリーは、デビーの邪悪な計画を阻止し、フェスターおじさんを救い出すことができるのでしょうか?
主なキャスト
- ゴメス・アダムス: ラウル・ジュリア
- モーティシア・アダムス: アンジェリカ・ヒューストン
- ウェンズデー・アダムス: クリスティーナ・リッチ
- フェスター・アダムス: クリストファー・ロイド
- パグズリー・アダムス: ジミー・ワークマン
- グラニー: キャロル・ケイン
- ハンド(ハンドくん): クリストファー・ハート
- カズン・イット(いとこのイット): ジョン・フランクリン(声)
- デビー・ジェリンスキー: ジョーン・キューザック
- ゲイリー・グレンジャー: ピーター・マクニコル(キャンプ・チッペワのディレクター)
- ベッキー・マーティン: クリスティーン・バランスキー(キャンプ・チッペワのディレクター)
主題歌・楽曲
映画のスコアはマーク・シャイマンが手掛けています。前作に引き続き、アダムス・ファミリーを象徴する有名なフィンガースナップ(指パッチン)のテーマ曲が使用されています。
受賞歴
- アカデミー賞: 衣装デザイン賞ノミネート
- ゴールデン・グローブ賞: 主演女優賞(アンジェリカ・ヒューストン)コメディ・ミュージカル部門ノミネート
- MTVムービー・アワード: ベスト・コメディ・パフォーマンス賞(クリスティーナ・リッチ)ノミネート
- 前作同様、多くのファンからカルト的な支持を得ています。
撮影秘話
- 前作に引き続き、アダムス・ファミリーの世界観を忠実に再現するため、凝った美術と衣装が特徴です。
- ウェンズデー役のクリスティーナ・リッチは、この映画でその個性的な演技がさらに高く評価され、子役としての地位を確立しました。
- デビー役のジョーン・キューザックのコミカルで猟奇的な演技は、この映画の大きな魅力の一つとなっています。
- サマーキャンプのシーンでは、アダムス家の子供たちが「感謝祭(サンクスギビング)」の劇で歴史の真実を語る場面が、特に印象的でユーモラスな見どころとなっています。
感想
『アダムス・ファミリー2』は、前作の魅力をそのままに、さらにパワーアップしたブラックユーモアと独特の世界観が楽しめる作品です。特に、デビーという「普通の悪役」を登場させることで、アダムス・ファミリーの「異常さ」が相対的に「普通」に見えるという逆転現象が面白さを増しています。ウェンズデーとパグズリーがサマーキャンプで巻き起こす騒動も、この映画のハイライトの一つです。家族愛とグロテスクなユーモアが絶妙に融合した、アルト・ホラーコメディの傑作と言えるでしょう。
レビュー
批評家からの評価は前作を上回るもので、Rotten Tomatoesでは79%の支持率を獲得。「前作よりも暗く、おかしく、さらに洗練された『アダムス・ファミリー2』は、この風変わりな一家をファンが望む形で提供している」と評価されています。ジョーン・キューザックの演技や、クリスティーナ・リッチ演じるウェンズデーの存在感が特に高く評価されました。観客からも根強い人気を誇る作品です。
考察
この映画は、アダムス・ファミリーという「異常な」存在を通して、「普通」とは何か、家族とは何かを問いかけています。デビーのような「常識的」に見える人物が悪の権化である一方で、アダムス・ファミリーの面々は奇妙でありながらも深い家族愛で結ばれていることが描かれます。これは、表面的な常識や見かけにとらわれず、本質的な価値を見つめ直すことの重要性を示唆しているとも考えられます。
ラスト
(ネタバレを含みます)
デビーはフェスターを殺害しようと様々な方法を試みますが、不死身のアダムス家の一員であるフェスターはなかなか死にません。最後に、デビーはフェスターを電気椅子に縛り付け、アダムス・ファミリーを招待して、彼らの目の前でフェスターを殺そうとします。
しかし、ウェンズデーが事前にデビーの企みを察知しており、配線をいじって罠を仕掛けていました。デビーがスイッチを入れると、電流はデビー自身へと流れ、彼女は骨と灰になってしまいます。
アダムス一家は無事に戻り、再び平穏(彼らにとっての)な生活を送ります。フェスター叔父さんは再び独身に戻り、ウェンズデーはサマーキャンプで出会ったジョエルとの間に特別な絆を育みます。ラストシーンでは、フェスターがハロウィンパーティーで出会った女性と踊る姿が描かれ、アダムス一家の「異常」な日常が続くことを示唆して終わります。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video
- U-NEXT
- Hulu
- Netflix (時期によって配信状況が変わることがあります)
- Google Play Movies & TV
- YouTube Movies
- dTV
これらのサービスでは、レンタルまたは購入での視聴が可能な場合が多いです。具体的な配信状況は、各プラットフォームでご確認ください。
まとめ
映画『アダムス・ファミリー2』(原題:Addams Family Values)は、1993年公開の実写版続編です。アダムス家に生まれた赤ん坊プーバータと、フェスターおじさんを狙うベビーシッターのデビー・ジェリンスキーを巡る騒動を描きます。ラウル・ジュリア、アンジェリカ・ヒューストン、クリスティーナ・リッチといった豪華キャストが続投し、ジョーン・キューザックが新たなキャラクターを演じます。前作以上にブラックユーモアとアダムス家の独特な価値観が際立つ作品として評価され、批評的にも成功を収めました。異常な家族が「普通」の悪と対峙する中で、真の家族愛が描かれるコメディ映画の傑作です。