『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』
映画『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(原題:Pain & Gain)
概要
- 原題: Pain & Gain
- 邦題: ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金
- 公開年: 2013年 (日本公開は2013年6月)
- 製作国: アメリカ
- 監督: マイケル・ベイ
- 脚本: クリストファー・マルクス、スティーブン・マクフィーリー(原作:ピート・コリンズのNew Times誌記事「Pain & Gain」に基づく)
- ジャンル: ブラックコメディ、犯罪、アクション
- 上映時間: 129分
- キャッチコピー: 実話に基づいた、史上最低の狂気の物語。
あらすじ
1990年代のフロリダ州マイアミ。サン・ボディ・フィットネス・ジムでトレーナーとして働くダニエル・ルーゴ(マーク・ウォールバーグ)は、肉体と精神の鍛錬を至上とする男でした。しかし、理想と現実のギャップに悩み、不公平な世界に不満を抱いています。彼は「アメリカンドリーム」を掴むためには、どんな手段も選ばないと決意します。
ある日、ダニエルは自己啓発セミナーで成功哲学に感銘を受け、人生を変えるべく「実行」に移すことを決めます。彼はジムの同僚である元犯罪者のエイドリアン・ドアバル(アンソニー・マッキー)と、信仰心の篤い元コカイン中毒者ポール・ドイル(ドウェイン・ジョンソン)を仲間に引き入れ、ボディビルダーによる狂気の犯罪チーム「サン・ボディ・ギャング」を結成します。
彼らが目をつけたのは、ダニエルの顧客であり、裕福な実業家であるヴィクター・カーショウ(トニー・シャルーブ)でした。彼らはヴィクターを誘拐し、財産を奪い取ろうと計画しますが、素人同然の彼らの計画は次々と破綻。想像を絶するようなとんでもない失敗やハプニングを繰り返しながら、犯罪はエスカレートしていきます。やがて、彼らの狂気じみた行動は、ベテラン私立探偵エド・デュボア(エド・ハリス)の知るところとなり、追い詰められていくことになります。
キャスト
- ダニエル・ルーゴ: マーク・ウォールバーグ
- ポール・ドイル: ドウェイン・ジョンソン
- エイドリアン・ドアバル: アンソニー・マッキー
- ヴィクター・カーショウ: トニー・シャルーブ
- エド・デュボア: エド・ハリス
- ロビン・ペック: レベル・ウィルソン
- サラ・カリーナ: バー・パリー
- インフェルノのオーナー: ロブ・コードリー レイノルズ捜査官: カート・フラー
主題歌・楽曲
映画のスコアはスティーヴ・ジャブロンスキーが担当しています。特定の主題歌や劇中歌が前面に出ているというよりは、映画のテンポや雰囲気を盛り上げるためのロックやポップス、そしてヒップホップ調の楽曲が効果的に使用されています。1990年代のマイアミを舞台にしているため、当時のヒット曲なども挿入されています。
受賞歴
本作は、商業的な成功を収めましたが、主要な映画賞の受賞歴は確認されていません。
撮影秘話
- 本作は、1999年にNew Times誌に掲載されたピート・コリンズの記事「Pain & Gain」に基づいた実話で、実際にフロリダ州で起こった信じがたい誘拐事件を映画化したものです。
- マイケル・ベイ監督は、『トランスフォーマー』シリーズなどの大規模なSFアクション映画とは異なり、本作を低予算(製作費2600万ドル)で製作しました。これは、監督が以前から温めていた企画であり、自身の原点に戻るような気持ちで取り組んだと語っています。
- キャストのマーク・ウォールバーグ、ドウェイン・ジョンソン、アンソニー・マッキーは、役作りのために徹底的な肉体改造を行い、ボディビルダーらしい体を作り上げました。特にドウェイン・ジョンソンは、自身の経験を活かし、ポール・ドイルというキャラクターに深みを与えました。
- 実話をベースにしているため、映画の冒頭には「これは実話である」というテロップが表示されますが、過激な内容であるため、脚色されている部分も多いとされています。
感想
『ペイン&ゲイン』は、マイケル・ベイ監督らしい派手な映像とスピーディーな編集、そしてブラックユーモアが満載の作品です。愚かで、傲慢で、どこか憎めない登場人物たちが繰り広げる狂気の犯罪は、観る者を呆れさせながらも、その信じがたい実話に基づいているという事実に驚愕させられます。マーク・ウォールバーグ、ドウェイン・ジョンソン、アンソニー・マッキーのコミカルでパワフルな演技が見どころであり、特にドウェイン・ジョンソンは自身のキャリアの中でも異色の役柄を演じています。
レビュー
批評家からのレビューは賛否両論でした。マイケル・ベイ監督の演出スタイルや、実話をブラックコメディとして扱った点に対しては意見が分かれました。一部の批評家は、その過剰な暴力描写や登場人物の愚かさを批判しましたが、一方で、そのユニークなトーンと、マーク・ウォールバーグとドウェイン・ジョンソンの演技を評価する声も多くありました。観客からの評価は比較的良好で、その「クレイジーさ」を楽しんだという意見が多く見られました。
考察
この映画は、アメリカンドリームの歪んだ解釈や、自己啓発セミナーの表層的な影響、そして肉体至上主義の過剰な側面などを風刺的に描いています。登場人物たちが「努力すれば何でも手に入る」という甘い言葉を真に受け、常軌を逸した行動に走る姿は、現代社会の欲望やモラル崩壊への皮肉とも受け取れます。コメディとして描かれているがゆえに、その裏にある人間の愚かさや悲劇性が際立つ作品と言えるでしょう。
ラスト
(ネタバレを含みます)
ダニエル・ルーゴたちは、幾度もの失敗と無数の殺人を重ねた末、私立探偵エド・デュボアに追い詰められます。最終的にサン・ボディ・ギャングのメンバーは全員が逮捕されます。
法廷では、彼らの信じがたい犯罪の全貌が明らかになり、それぞれが刑務所に送られることになります。ダニエル・ルーゴは終身刑を言い渡され、ポール・ドイルもまた長い懲役刑を受けることになります。エイドリアン・ドアバルも同様に刑に服します。
映画のラストでは、逮捕され、投獄された彼らが、それぞれがなぜこのような行動に出たのか、そして自分たちが正しいと信じていたことを語るシーンが描かれます。これは、彼らの歪んだ価値観と、その行動がもたらした悲劇的な結果を対比させる形で締めくくられます。彼らの「アメリカンドリーム」は、文字通り「史上最低の一攫千金」となり、すべてを失った形で幕を閉じます。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video
- U-NEXT
- Netflix (時期によって配信状況が変わることがあります)
- Google Play Movies & TV
- YouTube Movies
- dTV / Lemino
これらのサービスでは、レンタルまたは購入での視聴が可能です。具体的な配信状況は、各プラットフォームでご確認ください。
まとめ
映画『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(原題:Pain & Gain)は、マイケル・ベイ監督が実話を基に描いた2013年のブラックコメディ・犯罪アクションです。肉体至上主義に傾倒したボディビルダーたちが「アメリカンドリーム」を夢見て、度を越した誘拐と殺人事件を繰り返す狂気の物語。マーク・ウォールバーグ、ドウェイン・ジョンソン、アンソニー・マッキーら豪華キャストが、その愚かでコミカルながらも恐ろしいキャラクターを熱演しています。賛否両論ある作品ですが、その信じがたい実話と、マイケル・ベイらしい強烈な映像表現が特徴です。