映画『レッド・ドーン』(原題:Red Dawn)





概要


  • 原題: Red Dawn
  • 邦題: レッド・ドーン
  • 公開年: 2012年 (日本公開は2013年)
  • 製作国: アメリカ
  • 監督: ダン・ブラッドリー
  • 脚本: カール・エルスワース、ジェレミー・パスモア (1984年の映画『若き勇者たち』に基づく)
  • ジャンル: アクション、スリラー、戦争、SF
  • 上映時間: 93分




あらすじ


アメリカ西海岸のワシントン州スポケーン。フットボール選手として活躍する兄のジェド(クリス・ヘムズワース)が休暇で帰省し、弟のマット(ジョシュ・ハッチャーソン)や友人たちと週末を過ごしていました。しかし、その平和な朝は突如として破られます。空から謎の航空機が飛来し、街にパラシュート部隊が次々と降下してきます。彼らは、まさかの北朝鮮軍でした。

侵攻してきた北朝鮮軍は、たちまち街を占領し、市民を捕らえ始めます。混乱の中、ジェドとマットは友人たちと共に辛くも脱出し、森へと逃げ込みます。彼らはそこで、なぜアメリカが侵略されたのか、自分たちの国がどうなっているのか、ほとんど情報がないまま、生き残るために身を隠します。

しかし、やがて彼らは、ただ隠れているだけではダメだと悟ります。愛する家族や友人を守るため、そして自由を取り戻すため、ジェドを中心に若者たちは「ウルヴァリンズ」と名乗り、ゲリラ部隊を結成します。彼らは、訓練された北朝鮮軍に対して、地形や奇襲を活かした戦いを挑み、占領された故郷を奪還しようと奮闘します。彼らの戦いは、やがてアメリカ全体のレジスタンス運動へと繋がる、小さな希望となるのでした。


主なキャスト


  • ジェド・エッカート: クリス・ヘムズワース
  • マット・エッカート: ジョシュ・ハッチャーソン
  • トニ・ウォルシュ: エイドリアンヌ・パリッキ
  • ロバート・キットナー: ジョシュ・ペック
  • ダニー・ジャクソン: エドウィン・ホッジ
  • デラード大佐: ウィル・ユン・リー
  • ダリル・ジェンキンス: コナー・クルーズ
  • エリカ・マーティン: イザベル・ルーカス


主題歌・楽曲


映画の音楽は、ラミン・ジャヴァディが担当しています。特定の主題歌というよりは、緊迫したアクションシーンや愛国心を煽るようなスコアが特徴です。


受賞歴


主要な映画賞の受賞歴は確認できませんでした。


撮影秘話


  • 本作は、1984年の同名映画『若き勇者たち』(原題:Red Dawn)のリメイク版です。オリジナル版ではソ連軍が敵でしたが、リメイク版では当初中国軍が敵として設定されていました。
  • しかし、撮影後の編集段階で、中国への市場配慮や政治的・経済的な問題から、敵を北朝鮮軍にデジタル修正するという異例の変更が行われました。これは、敵の旗や文字、台詞などがCGや再アフレコで変更されたため、製作に多大なコストと時間がかかったと言われています。
  • 主要キャストには若手の人気俳優が多く起用されており、未来のスター候補として注目されました。
  • 監督のダン・ブラッドリーは、スタントコーディネーター出身であり、リアルなアクション演出が随所に見られます。


感想


『レッド・ドーン』(2012年版)は、若者たちが突如として侵略された故郷を守るために戦うという、シンプルなパトリオティズム(愛国心)とサバイバルを描いたアクション映画です。クリス・ヘムズワースをはじめとする若手キャストのアクションは迫力があり、特に序盤の急襲と、寄せ集めのゲリラ部隊が戦術を立てていく過程はスリリングです。ただし、政治的な背景やキャラクターの掘り下げは浅く、エンターテイメントに徹した作品となっています。


レビュー


批評家からのレビューは賛否両論、あるいはやや否定的な意見が多かったです。Rotten Tomatoesでは15%という低い支持率で、「オリジナルの露骨なイデオロギーは引き継ぎつつ、その不注意な作風は引き継がなかった」と評されています。Metacriticでは31/100のスコアで、「概ね好ましくないレビュー」を受けています。オリジナル版のようなカルト的な人気や社会への風刺性は薄いと評価されることが多いです。


考察


この映画は、冷戦時代の不安を反映したオリジナル版とは異なり、現代の地政学的状況(特にアジアの台頭)を意識した作品として企画されました。しかし、前述の敵国の変更など、製作側の政治的配慮が透けて見える部分があり、それが作品のメッセージ性を曖昧にしてしまったという指摘もあります。若者たちが自らの手で自由を取り戻すというテーマは普遍的ですが、その背景にある設定はやや説得力に欠けるとの見方もあります。


ラスト


ネタバレを含みます) 


ウルヴァリンズは、北朝鮮軍との激しい戦いを繰り広げ、多大な犠牲を払いながらも奮闘します。彼らは、敵の通信を妨害したり、要人を狙ったりするなど、ゲリラ戦術を駆使して占領軍に打撃を与えていきます。

最終的に、彼らの戦いは、アメリカの他の地域で展開されているであろうレジスタンス運動と呼応するように描かれます。生き残ったウルヴァリンズのメンバーは、さらなる反撃へと向かうことを決意します。明確な勝利で映画が終わるわけではなく、彼らの戦いがまだ続いていること、そしてそれが未来への希望となることを示唆する形で幕を閉じます。ジェドが最後に立ち向かう姿は、彼らの不屈の精神を象徴しています。


視聴できるサイト


  • Amazon Prime Video (レンタル・購入)
  • U-NEXT (見放題またはレンタル・購入)
  • Hulu (見放題またはレンタル・購入)
  • Google Play Movies & TV (レンタル・購入)
  • YouTube Movies (レンタル・購入)

具体的な配信状況は、各プラットフォームでご確認ください。


まとめ


映画『レッド・ドーン』(2012年版)は、突如として北朝鮮軍の侵攻を受けたアメリカで、若者たちがゲリラ部隊を結成し、故郷と自由を取り戻すために戦うアクションスリラーです。クリス・ヘムズワースやジョシュ・ハッチャーソンといった若手俳優が、命がけのサバイバルとレジスタンスに挑みます。政治的配慮による敵国の変更という異例の製作経緯も話題となりました。批評家からの評価は厳しかったものの、派手なアクションと愛国心をテーマにした作品として、一定のファンを獲得しています。



参考:オリジナル版『若き勇者たち』(Red Dawn, 1984年)について ジョン・ミリアス監督、パトリック・スウェイジ、チャーリー・シーン主演。冷戦時代を背景に、ソ連軍がアメリカに侵攻してきた世界で、若者たちが「ウルヴァリンズ」を結成して戦う物語。リメイク版の基となった作品で、カルト的な人気を誇ります。