『ノーカントリー』





概要


『ノーカントリー』(原題: No Country for Old Men)は、2007年に公開されたアメリカのクライム・スリラー映画です。

コーマック・マッカーシーの同名小説を原作とし、ジョエル・コーエンとイーサン・コーエン兄弟が監督・脚本を務めました。

1980年のテキサス州西部を舞台に、偶然大金を手にした男、彼を追う殺人鬼、そして事件を追う老保安官の三者三様の運命を描いています。


あらすじ


ベトナム帰還兵のルウェリン・モスは、狩りの最中に麻薬取引の現場に遭遇し、200万ドルの大金が入った鞄を偶然手に入れます。

しかし、その金を追う冷酷な殺し屋アントン・シガーが現れ、モスを執拗に追い詰めます。

一方、老保安官のエド・トム・ベルは、この一連の事件を追いながら、時代の変化と自身の無力感に苦悩します。


キャスト


  • ルウェリン・モス:ジョシュ・ブローリン
  • アントン・シガー:ハビエル・バルデム
  • エド・トム・ベル保安官:トミー・リー・ジョーンズ
  • カーラ・ジーン・モス:ケリー・マクドナルド
  • カーソン・ウェルズ:ウディ・ハレルソン


主題歌


  • 本作には、従来の映画音楽のような主題歌や劇伴はほとんどありません。
  • 代わりに、環境音や効果音を効果的に使用し、緊張感や臨場感を高めています。


受賞歴


  • 第80回アカデミー賞:作品賞、監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚色賞
  • 第65回ゴールデングローブ賞:助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚本賞
  • 英国アカデミー賞:監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、撮影賞


撮影秘話


  • コーエン兄弟は、原作の雰囲気を忠実に再現するため、テキサス州西部でロケ撮影を行いました。
  • ハビエル・バルデムは、アントン・シガーの独特なキャラクターを演じるため、徹底的な役作りを行いました。
  • 撮影は、コーエン兄弟の得意とする緻密な演出と、ロジャー・ディーキンスによる美しい映像によって、高い評価を得ました。


感想


『ノーカントリー』は、従来のクライム映画とは一線を画す、哲学的で深い作品です。

暴力、運命、そして人間の存在について考えさせられる、衝撃的な映画体験を提供します。


レビュー


本作は、批評家からも観客からも非常に高い評価を得ました。

特に、コーエン兄弟の演出、ハビエル・バルデムの演技、そして映像美が絶賛されています。


考察


『ノーカントリー』は、現代社会における暴力、倫理観の崩壊、そして人間の無力さを描いた作品として解釈できます。

また、運命や偶然といった要素も、物語に深い意味を与えています。


ラスト


映画のラストシーンでは、ベル保安官が過去の夢を語る場面で終わります。

このシーンは、時代の変化に対するベルの諦観や、自身の無力感を象徴しています。

明確な解決や救いのないラストは、観客に深い余韻を残します。


視聴できるサイト



まとめ


『ノーカントリー』は、コーエン兄弟の最高傑作の一つであり、映画史に残る傑作として評価されています。

暴力描写や哲学的テーマが含まれているため、観る人を選ぶ作品ですが、映画ファンであれば一度は観ておきたい作品です。