映画『28週後...』(原題:28 Weeks Later)






概要


  • 原題: 28 Weeks Later
  • 邦題: 28週後...
  • 公開年: 2007年 (日本では2007年9月15日公開)
  • 製作国: イギリス、スペイン
  • 監督: ファン・カルロス・フレスナディージョ
  • 脚本: ロワン・ジョフィ、ファン・カルロス・フレスナディージョ、エンリケ・ロペス・アランソ、ヘスス・ガルシア・ドゥエニャス
  • 原作: ダニー・ボイル監督の『28日後...』(2002年)の続編
  • ジャンル: ホラー、SF、アクション、ゾンビ
  • 上映時間: 100分


あらすじ


前作『28日後...』で猛威を振るった、怒りによって凶暴化する“レイジ・ウイルス”がイギリス全土を壊滅させてから28週間後。イギリス本土はウイルス感染が終息したと判断され、アメリカ軍主導のもと、ロンドンの一角、ドックランズ地区に安全地帯「グリーン・ゾーン」が設けられ、海外に避難していた人々が帰還を始めます。

その中に、ドン(ロバート・カーライル)と妻のアリス(キャサリン・マコーマック)、そしてその子供たち、タミー(イモージェン・プーツ)とアンディ(マック・グレゴリー)もいました。しかし、子供たちはドンの口から語られた、前作で家族が離散した際の真実(ドンがアリスを見捨てて逃げたこと)に疑問を抱きます。子供たちは秘密裏に、警戒区域とされたかつての自宅へ戻り、そこで生存していたアリスを発見します。

アリスは感染していませんでしたが、ウイルスの保菌者であることが判明。彼女は無症候性キャリアだったのです。しかし、安全地帯の医療施設に移送されたアリスは、ドンとの接触により、彼の怒りを誘発してしまい、ドンはウイルスに感染、瞬く間に狂暴化します。彼は安全地帯で大勢の人々を襲い、感染は再び拡大。アメリカ軍による厳戒態勢も破られ、事態は再び地獄絵図へと変貌します。

生き残ったタミーとアンディは、軍のドイル少佐(ローズ・バーン)や科学者フリン(ジェレミー・レナー)らの助けを借りながら、再び感染者と化したロンドンをさまよい、生きて脱出することを試みます。しかし、軍による無慈悲な殲滅作戦や、凶暴化した感染者たちの追撃が彼らを追い詰めます。


主なキャスト


  • ドン: ロバート・カーライル
  • タミー: イモージェン・プーツ
  • アンディ: マック・グレゴリー
  • ドイル少佐: ローズ・バーン
  • フリン: ジェレミー・レナー
  • アリス: キャサリン・マコーマック
  • ストーン大将: イドリス・エルバ
  • ジェームズ・ブリッグス軍曹: ハロルド・ペリノー


主題歌・楽曲


映画の音楽は、ジョン・マーフィーが前作に引き続き担当しています。特に前作でも印象的だった「In the House - In a Heartbeat」のメロディが、本作でもアレンジされて使用されており、緊迫感と悲壮感を高めています。特定の主題歌や挿入歌がフィーチャーされているわけではありません。


受賞歴


『28週後...』は、その高い完成度とホラーとしての評価から、いくつかの映画賞にノミネート・受賞しています。

  • 英国インディペンデント映画賞: 最優秀作品賞、最優秀監督賞など複数部門ノミネート
  • サターン賞: 最優秀ホラー映画賞 ノミネート
  • エンパイア賞: 最優秀英国映画賞 ノミネート
  • ファンゴリア・チェーンソー・アワード: いくつかの技術部門で受賞


撮影秘話


  • 前作の成功を受けて製作された続編ですが、監督はダニー・ボイルからファン・カルロス・フレスナディージョに交代しました。ボイルは製作総指揮として参加しています。
  • ロンドンでの撮影は、CGと実際に封鎖された通りを組み合わせることで、荒廃した都市のリアリティを追求しました。特に、空っぽのロンドンを表現するために、早朝に道を閉鎖して撮影が行われました。
  • 前作から引き続き、手持ちカメラを多用したドキュメンタリータッチの映像と、素早く動く“レイジ・ウイルス”感染者の描写が特徴です。
  • ドン役のロバート・カーライルは、感染後の恐ろしい姿を迫真の演技で演じきっています。


感想


『28週後...』は、前作の緊迫感と絶望感をさらに高めた、非常に優れたホラー・スリラーです。感染の再拡大という絶望的な状況と、軍による無慈悲な対応が、人間ドラマをより際立たせています。特に、家族の絆と裏切り、そして生き残るための残酷な選択というテーマが深く掘り下げられています。前作に比べてゴア描写が増え、アクションもより激しくなっていますが、単なる残虐性だけでなく、極限状態での人間の行動をリアルに描いている点が評価されます。


レビュー


批評家からのレビューは概ね好意的でした。Rotten Tomatoesでは72%の支持率を獲得し、「激しく、視覚的に見事な『28週後...』は、前作の成功に続き、恐怖と社会的な考察を効果的に組み合わせている」と評されています。Metacriticでは78/100のスコアで、「概ね好評」を受けています。前作のテーマ性を継承しつつ、独自の恐怖を追求した点が評価されました。


考察


この映画は、災害時の軍隊の対応、感染症の拡大と封じ込めの困難さ、そして人間が極限状態に置かれた時にどこまで残虐になれるかという、社会的なテーマを強く描いています。レイジ・ウイルスが単なるゾンビではなく、人間の「怒り」という感情を増幅させるという設定は、人間の本質的な暴力性への問いかけでもあります。家族という最小単位の共同体が、崩壊した世界でどのように生き残るか、あるいは崩壊していくかというドラマも核となっています。


ラスト


ネタバレを含みますのでご注意ください


 タミーとアンディは、ドイル少佐やフリンらの助けを得ながら、最終的にウイルス感染が及んでいないフランスへの脱出を目指します。しかし、追撃する感染者と軍の総攻撃により、仲間は次々と命を落としていきます。

最終的に、兄アンディはレイジ・ウイルスのキャリアである母アリスから遺伝的にウイルスを受け継いでおり、免疫があることが判明します。科学者たちは彼の血液を使って治療法を開発しようとしますが、軍の無差別攻撃によって研究は中断されます。

生き残ったタミーとアンディは、フリンが操縦するヘリコプターでロンドンを脱出することに成功し、フランスへとたどり着きます。彼らはヘリコプターを降ろし、救助を求める声を聞きます。

しかし、映画の真のラストは、フランスのパリにあるエッフェル塔を映し出し、ヘリコプターの無線から聞こえる通信士のフランス語の絶叫で幕を閉じます。そして、パリの地下鉄のトンネルから、素早く走り来る感染者たちの姿が映し出されます。

これは、タミーとアンディが脱出したことで、レイジ・ウイルスがイギリスを越えてヨーロッパ大陸へと拡散してしまったことを示唆しており、人類の終焉が近いことを暗示する、極めて絶望的な結末となっています。


視聴できるサイト


  • Amazon Prime Video (レンタル・購入)
  • U-NEXT (見放題またはレンタル・購入)
  • Hulu (見放題またはレンタル・購入)
  • Google Play Movies & TV (レンタル・購入)
  • YouTube Movies (レンタル・購入)

具体的な配信状況は、各プラットフォームでご確認ください。


まとめ


映画『28週後...』は、前作『28日後...』の絶望的な世界観を継承し、さらにスケールアップさせた2007年のホラー・スリラーです。レイジ・ウイルスが終息したと思われたイギリスで、感染が再び拡大し、人類の存亡をかけた戦いが描かれます。ロバート・カーライル、ローズ・バーン、ジェレミー・レナーといった実力派キャストの演技、緊迫感あふれる演出、そして容赦ないゴア描写が特徴です。社会的な考察と、人類の未来に対する絶望的な問いかけを残す、記憶に残る続編として高く評価されています。