『ラビリンス/魔王の迷宮』
映画『ラビリンス/魔王の迷宮』(原題:Labyrinth)
概要
- 原題: Labyrinth
- 邦題: ラビリンス/魔王の迷宮
- 公開年: 1986年 (日本公開は1986年12月6日)
- 製作国: イギリス、アメリカ
- 監督: ジム・ヘンソン
- 製作総指揮: ジョージ・ルーカス
- 脚本: テリー・ジョーンズ (物語はジム・ヘンソン、デニス・リー、ジム・オドネル)
- ジャンル: ファンタジー、ミュージカル、アドベンチャー
- 上映時間: 101分
あらすじ
お伽噺が大好きな15歳の少女サラ(ジェニファー・コネリー)は、現実世界では反抗期を迎えたティーンエイジャーです。ある夜、彼女は両親に外出され、泣きやまない幼い弟トビーの世話を押し付けられます。弟の泣き声にうんざりしたサラは、お気に入りの本『ラビリンス』の一節を引用し、冗談半分でゴブリンの魔王に弟を連れ去るよう願ってしまいます。
すると、その願いは現実となり、魔王ジャレス(デヴィッド・ボウイ)が目の前に現れ、本当にトビーを連れ去ってしまいます。ジャレスは、真夜中までに城へ続く広大な迷宮(ラビリンス)を突破できればトビーを返すが、できなければ弟はゴブリンになってしまうと告げます。
後悔と責任感に駆られたサラは、弟を取り戻すため、謎と危険に満ちた迷宮へと足を踏み入れます。迷宮の中では、ゴブリンたちが邪魔をし、奇妙で個性的なクリーチャーたちと出会い、彼らとの出会いを通して、サラは成長していきます。魔王ジャレスは、様々な幻惑や試練を仕掛け、サラを誘惑し、迷宮の奥へと誘い込みます。サラは果たして真夜中までに迷宮を抜け出し、弟を救い出すことができるのでしょうか。
キャスト
- サラ: ジェニファー・コネリー
- 魔王ジャレス: デヴィッド・ボウイ
- ホグル (パペットの声と操演): ブライアン・ヘンソン
- ルーシー (パペットの声と操演): パーシー・エドワーズ
- サー・ディディマス (パペットの声と操演): デヴィッド・ショウフィエルド
- トビー: トビー・フロウド
主題歌・楽曲
魔王ジャレスを演じたデヴィッド・ボウイが、この映画のために多数の楽曲を制作し、劇中で歌い上げています。彼の存在感と楽曲が、映画の大きな魅力となっています。
- "Magic Dance"
- "Chilly Down"
- "As the World Falls Down"
- "Underground"
- "Within You"
- その他、インストゥルメンタル曲も多数。
受賞歴
- サターン賞 最優秀ファンタジー映画賞 ノミネート
- ヒューゴ賞 最優秀ドラマティック・プレゼンテーション賞 ノミネート
- グラミー賞 最優秀オリジナル・スコア・アルバム映画部門 ノミネート
- 公開当時は批評家からの評価は分かれましたが、後年カルト的な人気を博し、再評価されました。
撮影秘話
- ジム・ヘンソンの創造性: ジム・ヘンソン監督は、『セサミストリート』や『マペット・ショー』で知られるマペットの生みの親であり、本作では彼のパペット技術とファンタジーに対する並々ならぬ情熱が注ぎ込まれました。当時としては画期的なパペット技術やアニマトロニクスが多用され、CGに頼らない温かみのあるクリーチャーたちが多数登場します。
- デヴィッド・ボウイの起用: 監督のヘンソンは、音楽と映像の両面で独自の世界観を持つ人物を求めており、音楽界のカリスマであるデヴィッド・ボウイにオファーしました。ボウイは、魔王ジャレスのキャラクターデザインにも深く関わり、その奇抜な衣装やメイクも彼のアイデアが反映されています。
- ジョージ・ルーカスとの協力: 製作総指揮には『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスが参加しており、彼の視覚効果スタジオであるインダストリアル・ライト&マジック(ILM)が一部の特殊効果を担当しています。
- ジェニファー・コネリーの若き演技: 当時15歳だったジェニファー・コネリーは、本作が初の主演映画であり、複雑な感情を持つ少女サラを見事に演じ切りました。
感想
『ラビリンス/魔王の迷宮』は、ジム・ヘンソンが生み出した独創的なクリーチャーと、デヴィッド・ボウイ演じる魅惑的な魔王ジャレスの存在感によって、唯一無二のファンタジー世界を構築しています。視覚的な魅力だけでなく、子供から大人への成長、責任感、そして現実と幻想の境界といったテーマが描かれており、物語に深みを与えています。ボウイの楽曲は映画の世界観と完璧に融合し、観る者を惹きつけます。
レビュー
公開当初は興行的には振るわず、批評家からの評価も賛否両論でした。しかし、時が経つにつれてその独創性、芸術性、そしてデヴィッド・ボウイのカリスマ性が再評価され、カルト的な人気を獲得しました。現在では、多くのファンに愛されるファンタジー映画の古典として認識されています。
考察
この映画は、単なる子供向けファンタジーにとどまらず、少女サラが内面的な成長を遂げる「通過儀礼」の物語として深く考察されています。迷宮はサラ自身の心の葛藤や、子供時代の終わり、そして大人になることへの抵抗を表しているとも言えます。魔王ジャレスは、単なる悪役ではなく、サラの成長を促す触媒であり、彼女自身の潜在的な願望やシャドウの部分を象徴する存在としても解釈できます。ボウイの楽曲は、この心理的な旅路を彩る重要な要素となっています。
ラスト
(ネタバレを含みます)
真夜中が迫る中、サラはついに魔王ジャレスの城にたどり着き、弟トビーと対峙します。ジャレスは、サラが自分を愛し、永遠に自分のそばにいれば、全ての願いを叶えようと誘惑します。しかしサラは、迷宮での旅を通して得た経験と成長によって、ジャレスの誘いを断り、彼の言葉の嘘を見抜きます。
そして、サラは、迷宮を突破する鍵となる「あなたには何もできない」という言葉をジャレスに告げ、彼の力を打ち破ります。ジャレスはゴブリンたちと共に姿を消し、城は崩壊します。
サラはトビーを抱きしめ、元の自宅の部屋へと戻ります。翌朝、全てが夢だったかのように、弟はベビーベッドで無邪気に眠っています。しかし、サラの部屋には迷宮で出会ったクリーチャーたちの幻影が現れ、彼女は彼らとの冒険が現実だったことを悟ります。そして、サラは大人への一歩を踏み出したように、現実とファンタジーの境界を受け入れたような表情を見せて物語は幕を閉じます。
視聴できるサイト
- Amazon Prime Video (レンタル・購入)
- U-NEXT (見放題またはレンタル・購入)
- Netflix (時期によって配信状況が変わることがあります)
- Google Play Movies & TV (レンタル・購入)
- YouTube Movies (レンタル・購入)
- Apple TV (レンタル・購入)
具体的な配信状況は、各プラットフォームでご確認ください。
まとめ
映画『ラビリンス/魔王の迷宮』(原題:Labyrinth)は、1986年に公開されたジム・ヘンソン監督のファンタジー映画です。幼い弟を魔王に連れ去られた少女サラが、迷宮を冒険しながら成長する物語を描きます。デヴィッド・ボウイ演じる魔王ジャレスのカリスマ性と彼が手掛けた楽曲、そして温かみのあるパペット・クリーチャーたちが織りなす独特の世界観が魅力です。公開当初は評価が分かれましたが、時を経てカルト的な人気を博し、今では多くのファンに愛される不朽のファンタジー作品となっています。